Newみんなの算数講座13 旅館に子供を配る問題

Newみんなの算数講座13 旅館に子供を配る問題

今回は過不足算という文章題について解説します。インパクトをねらって変わったタイトルをつけてみましたが、最後までお読みになれば僕の意図を理解してもらえると思います。

ではまず過不足算の典型的な基本問題を一問。

何個かのキャンディーを何人かの子供たちで分けます。1人に5個ずつ配るとキャンディーは35個あまり、1人に7個ずつ配るとキャンディーは13個不足します。子供の人数とキャンディーの個数を求めてください。

算数でこの過不足算を解く方法はいくつかあります。教える先生の好みが出やすいところかもしれませんね。面積図で教える先生が多いかな。僕は過不足算に面積図は反対派!「過不足算は簡単なメモだけで解けるよ」と教えます。 え? XとY の連立方程式? 算数には方程式がないからそこから教えないとならなくなりますよ?0より小さいマイナスの数もないから、式は作ったけど処理に困るという問題も起きるでしょうね。

ではよく見かける面積図による解法と、僕が一押しの簡単なメモで済ませてしまう方法を解説しましょう。

〈面積図による解法〉
下のような面積図を書いて考えます。
タテが子どもの人数、横が分けるときの個数です。5個ずつ分けると35個あまり、7個ずつ分けると13個不足することを表現しています。カラーで表示した部分が実際のキャンディーの総数ですね。


面積図さえ書ければ計算は簡単です。
子どもの人数=(35+13)÷(7-5)=48÷2=24人
キャンディーの総数は、カラー表示の部分の面積を求めて
24×5+35 または 24×7-13
どちらで計算しても155個と求めることができます。

メモ □×5、□×7の長方形の面積が配るときに必要な個数です。実際のキャンディーの個数はカラー部分の面積です。□×5に35個たしたり、□×7から13個を引くと実際のキャンディーの個数になっています。

〈簡単なメモで解く方法〉
この問題は「あまりと不足」の条件だから面積図も書きやすいですが、「あまりとあまり」や「不足と不足」の条件になると、面積図がうまく書けない生徒が多いようです。そこで僕はこんなメモ書きを推奨しています。イラストは書かなくてもいいですよ?(笑)

1人分   全体
5     35あ ←あまりの あ
7     13ふ ←不足の ふ

差をとる  2     48
割る 48÷2=24人 ← これがの人数です

このように過不足算は(全体の差)÷(1人分の差)=(人数)がポイントになります。1人分の小さな差が、何人か集まることで全体の大きな差が生じるわけです。それを逆用すれば、上のようなわり算で人数が出ますよね。このポイントがつかめていれば、こうしたメモ書きだけで十分です。わざわざ面積図を書く必要もないと思いませんか?

あとはどちらかの条件に子どもの人数をあてはめて、
24×5+35=155個…キャンディーの総数

注意 〈あまり〉と〈不足〉の差はたし算して求めます。気温10度と-5度の差が10+5=15度になる感覚です。〈あまり〉どうしの差、〈不足〉どうしの差は引き算でよいです。カーテンコールもご覧ください。


では次の問題です。同じ過不足算なのですが、ストーリーが変化すると生徒たちの正解率がだいぶ下がります。こんな過不足算です。

ウカルゾ進学教室の夏期集中合宿があります。ある旅館を貸し切りで宿泊しますが、1部屋7人ずつにすると36人が泊まれなくなるので、1部屋9人ずつにしたところ、5人しかいない部屋が1つと、誰もいない部屋が2つできてしまいました。旅館の部屋数と合宿の参加人数を求めてください。

この問題の正答率が低い理由は、子供の役割がさきほどのキャンディーの問題と違うからです。さきほどの問題は子供にキャンディーを配りましたが、この問題は旅館に子供を配っているのですね。つまり、この問題ではさきほど子供を求めたように部屋数を求め、キャンディーを求めたように子供を求めればよいのです。
では面積図はカットして、メモ方式で答えをだしますね。子供を9人ずつ配るときに不足する人数は、5人しかいない部屋の4人と、2つの空き部屋の9×2=18人で合計22人です。

1部屋分  全体
7     36あ
9     22ふ

差をとる  2     58

割る
 58÷2=29部屋 ← 部屋の数です。子供の数ではありません

あとはどちらかの条件に部屋の数29をあてはめて、
29×7+36=239人…合宿の参加人数


2問の過不足算いかがでしたか?
ストーリーこそ違いますが、どちらも同じように解ける問題だということを理解してもらえたのではないでしょうか。他には、子供が講堂の長椅子に座ったり、なにかの費用を分担して払う過不足算もありますね。どこかで過不足算に遭遇したら、ぜひメモだけでやっつけてくださいね。

では今回の講座はこれでおしまいにします。算数楽しいでしょう?また次の講座でお会いしましょうね。

カーテンコール
途中、あまりと不足をたしましたが、求めたのは和ではなく差なのです。算数にはマイナスの数がないから「反対語の差はたして求める」と教えます。本文では気温の例を書きましたが、お金の方がわかりやすいかもしれません。3万円のもうけと2万円の損の差は1万円ではなく5万円ですよね。

みなさんへの宿題
スズシー高原ホテルを貸し切りにして、ある進学塾の6年生夏期合宿が行われました。1部屋に3人ずつ泊まると16人の生徒が泊まれなくなり、1部屋に5人ずつ泊まると、3人しかいない部屋が1部屋と誰もいない空き部屋が2部屋できてしまうそうです。この合宿に参加した6年生は全部で何人でしょうか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。