NEWみんなの算数講座85 あまりが等しくなる線分図

NEWみんなの算数講座85 あまりが等しくなる線分図

みなさんこんにちは。
今回は、とてもよく出る割り算とあまりの問題を解説します。いくつかの整数を同じ整数で割ったとき、あまりが等しくなるという条件から、割った整数(割る数)を求める問題です。解いていく途中で、その整数が条件を満たすかどうかのチェックが必要で、そのチェックを怠(おこた)ると、余計なものまで答えてしまうことになります。出題されることがとても多い問題なので、よく読んでしっかり理解してくださいね。

3つの整数128、200、236をある整数で割ると、あまりが等しくなります。ある整数はいくつですか?すべて答えてください。

正直に式を作ってみると次のようになりますが、わからないところが多すぎて、式だけで何かをつかむのは難しいです。

128÷□=〇あまり△
200÷□=●あまり△
236÷□=◎あまり△

求めたいのは□ですが、それ以外にもわからないところだらけですよね?

それをどうするか?
この問題は数式の問題なのに、意外にも線分図を書いてみるのが名案なのです。さっそく線分図を作りました。

線分図はこのようになります。
まず、割ったときに等しくなるあまり(△)を線分図の左側でそろえます。青い線のところです。

すると残ったオレンジの線のところ(3本とも)は、あまりがなくなったわけだから□で割ると割り切れることになりますね。
しかし残念ながらオレンジの線の長さを求めることはまだできないです。

そこで注目するのが緑の線です。オレンジの線がどれも□で割り切れるなら、オレンジの線とオレンジの線の差も□で割り切れるはずですよね?
*たとえば16も48も8で割り切れます。その差の32(=48-16)も8で割り切れます。

オレンジの線とちがい、緑の線の長さは簡単に計算することができます。緑の線の長さは
200-128=72と、236-200=36です。

ポイントを整理します。
問題で求めたい整数の□は、緑の線の72と36を両方とも割り切れる数です。つまり72と36の公約数ですね。

公約数とは最大公約数の約数すべてです。
72と36の最大公約数は36だから、割る数の□として考えられる整数は、
1、2、3、4、6、9、12、18、36 (36の約数)です。

8個の整数が候補になりましたが、これらがすべて答えになるわけではありません。
なぜか?
それは128や200や236を割ったときに、割り切れてしまう整数を除外しなくてはならないからです。割り切れてしまったら余りが出ませんよね?

ではていねいにそのチェックをしてみましょう。
まず1と2は落選です。128÷1、128÷2 どちらも割り切れてしまいます。3つの整数のうち、一つでも割り切れたら落選だから、他を割るまでもないでしょう。(200も236も1と2では割り切れます)

3はセーフみたいですね。128、200、236のなかに3で割り切れる数はないです。すると6、9、12、18、36がまとめてセーフであることもわかります。なぜなら6、9、12、18、36はどれも3の倍数だから、3で割り切れなかった数が6、9、12、18、36で割り切れるはずがないからです。

あとは4が残ってますね。4は残念ながら落選です。128÷4が割り切れてしまうのですね。(200÷4 236÷4も割り切れます)

これで無事に最終チェックが終了しました。この問題の解答として残る整数は
3、6、9、12、18、36です。

□=3で確かめをしてみましょうか。
128÷3=42あまり2
200÷3=66あまり2
236÷3=78あまり2
確かにあまりがすべて等しくなりますね。3以外についてはみなさんでたしかめてみてください。

くわしく補足

最後にふるい落とす整数は、128、200、236を割り切れる数、つまり128、200、236の公約数です。これらの最大公約数は4だから、4の約数1、2、4がふるい落とされ、それ以外が残ることになります。

つまり、この問題の答えになる整数とは
☆72(=200-128)と36(=236-200)の公約数であり、
☆128、200、236の公約数ではないもの
です。

***
線分図から手がかりを得るわり算とあまりの問題、いかがでしたでしょうか?
式を作るだけでは解き方が見えにくい問題なのですが、線分図を書いてみることで理解がしやすくなりました。この問題を中高生に出すと、文字を4つも5つも持ち出して数式だけで解こうとしますよ?それでもなんとかなるのですが、これは算数の知恵の方が上を行っている気がしますね。この問題がテストに出たら、ぜひ線分図といっしょに攻略したことを思い出してくださいね。

ではまた次の講座で楽しい算数のお話をしたいと思います。今回はこれでさようなら!

カーテンコール
最後に除外した1、2、4も「あまりが0」と考えれば問題の条件からはずれているわけではありません。しかし常識的に考えて、あまりが0のとき(割り切れたとき)に、あまりが等しくなったとは言わないでしょう?テストに出題される場合も、1、2、4を入れたら不正解になるでしょうね。

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