Newみんなの算数講座52 差を集めるという考え方

Newみんなの算数講座52 差を集めるという考え方

こんにちは。今回はニューみん算講座52番です。

もうひとつのホームページの元祖みんなの算数講座102作(2019/9/2現在)を、書いてから年月もたったから、全作書き直してこちらで発表することにしましたが、その作業がようやく半分まできました。これが終わらないことには103作目から先が書けません。でも折り返し地点をターンしてゴールはうっすらと見えてきました。年内にはなんとかなりそうです。

さて講座52は、数ある算数の文章題のなかでも苦手な生徒が多い差集め算(さあつめざん)を取り上げたいと思います。みなさんは差集め算を苦手にしないようによく読んでしっかりマスターしてくださいね。

差集め算では、その名のとおり差を集めるという発想がカギになります。算数らしい独特の考え方なので、中学受験の算数を経験していない人には発想自体が初耳ということも少なくないでしょう。学生さんや大人の人はどうしても文章題に方程式を多用しがちでしょうから、そうすると差集め算の発想は式の行間に隠れてしまい、あまり気に留めなかった発想だと思います。

前置きはこのぐらいにしてごく簡単な差集め算から出してみますね。

いまここに同じ枚数の500円玉と100円玉があります。500円玉だけの合計金額と100円玉だけの合計金額の差は3200円です。500円玉と100円玉は何枚ずつありますか?

もし500円玉と100円玉が1枚ずつならその差は400円です。しかし実際の差は3200円だから、これは400円という小さな差が何枚かぶん集まって差が拡大したわけです。
400円の差×□枚ぶん=3200円の差
この式を割り算で逆算して、3200÷400=8より硬貨の枚数は8枚ずつです。

簡単じゃんって? はい、とても簡単なことなのですが、いざ差集め算の問題が出されると、この簡単なことになかなか気づかなくなってしまうみたいです。とりあえず簡単だと思えているうちに次の式を頭に入れてしまってください。

両者の個数がそろっているとき、← 超重要な前提

全体の金額の差÷1個の金額の差=そろっている個数


1個の金額の差×そろっている個数=全体の金額の差

では次の問題にいきますよ。

1箱750円のたばこエクセレントを(イギリス並みの高さ!?)何箱か買う予定でお金をちょうど持っていきました。ところがエクセレントが売り切れていて1箱500円のファインスターを買ったため、予定より4箱多く買って用意したお金をちょうど使いきりました。はじめエクセレントを何箱買う予定でしたか?

これが典型的な差集め算です。方程式? 学生さんや大人の人の特権かもしれませんが、方程式に頼ると柔軟な算数の発想と触れる機会を逸してしまいます。算数の勉強では方程式は箱に入れて押し入れにしまっておいてください。

では解説します。じつはこの問題、はじめに出した硬貨の問題と同じ構造なんです。こうやって書いて考えてください。

750 750 ・・・・・・・・・・ 750
500 500 ・・・・・・・・・・ 500500 500 500 500(4箱多い)

同じ金額で500円のファイスターは750円のエクセレントより4箱多く買えます。
ではその4箱を無視して個数がそろっている│ │の部分で考えるといくらの金額差が生じるでしょうか?
そうです。│ │の部分で生じた差額でファインスターが4箱買えるから、│ │の部分ではファイスターの方が500×4=2000円安くなりますね。│ │の右にはみ出ているファイスター4個分の2000円が│ │部分で生じる差ということです。

これでこの問題も初めの硬貨の問題と同じになりました。エクセレントとファイスターが1箱ずつなら750-500=250円の差があります。この差が何箱ぶんか集まって2000円の差に拡大したわけです。さきほど作った公式
全体の金額の差÷1個の金額の差=そろっている個数
を使いましょう。2000÷250=8より、│ │の部分のそろっている個数が8箱ずつとわかります。これが解答ですね。はじめに買おうとしたエクセレントの個数は8箱です。

僕の教え方はこのような感じですが、先生によっては差集め算は面積図!と教えることも多いみたいですね。僕は面積図までは必要ないのでは? と思いますけど、算数の解き方ってどこでみなさんの頭に落ちるかわかりませんからね。面積図も作りましたので出しておきましょう。


タテ長の長方形が750円のエクセレントの代金、横長の長方形が500円のファインスターの代金です。二つの長方形の面積は等しいから、重なっている部分を除いた左上の長方形と右下の長方形の面積も等しいです。
(750-500)×□=500×4
250×□=2000
□=2000÷250=8個

面積図もなかなかいいですね。もしこっちがわかりやすいという人はこれで解いてくれても大丈夫ですよ。

もう一問。ハンパがある差集め算。

1個70円の人形焼きを何個か買う予定でちょうどぴったりのお金を持っていきましたが、1個の値段が90円だったため予定していた個数より5個少なく買うことにしました。その結果お金は30円あまりました。持っていったお金はいくらでしょうか?

70 70 ・・・・・・・・・・ 7070 70 70 70 70
90 90 ・・・・・・・・・・ 9030(5箱少ないが30円余る)

同じような様子図を書いてみました。| |部分だけの差を考えるために| |より右側を比べます。上段では70×5=350円がはみ出ていて、下段には30円の余りがあります。| |の部分で生じる差は350-30=320円ですね。
全体の金額の差÷1個の金額の差=そろっている個数 の出番です。
320÷(90-70)=16より、│ │の部分のそろっている個数が16箱ずつとわかります。持っていったお金は90×16+30=1470円です。当初の予定も調べてみましょう。70×(16+5)=1470円。5個多く買えてぴったりですね。確かめも完了です。


差集め算の考え方わかりましたか? 条件をもう少しややこしくすることはできますが、差集め算の仕組みはこの講座に書いた内容がすべてです。あとは問題集などで練習して差集め算に慣れてください。
最後に繰り返しますが、何度か出てきた公式を使うときは、両方の個数をそろえておくことが大事ですよ。そこがずれていると公式は使えません。逆に考えると作問者はそこをずらして問題のレベルを上げてきますね。差集め算は│ │の個数をそろえてから公式! 忘れないでください。

では講座52差集め算。これにておひらきです。次回予告はカレンダーの日暦算。またまたよく出るジャンルですね。楽しみにしていてください。ではまた次回の講座で~!

カーテンコール
差集め算、独特ですよね? 正直苦手な生徒が多いです。差を集めるという考え方をふだんあまりしませんからね。身近でわかりやすいたとえなら「毎月のおこづかいが300円増えたら一年で3600円増える」こんな感じでしょうか。ストンと頭に落ちる生徒がいるかもしれません。入学試験は差をつけるための試験ですからね。苦手な生徒が多いジャンルを得意にすると有利ですよ。がんばってください!

みなさんへの宿題
きよえさんは1個130円のたい焼きを何個か買う予定でたい焼き屋さんに行きました。お金があまるはずはなかったのですが、その日は特売日で1個100円で売っていたため、予定より2個多く買えてしかも70円あまりました。きよえさんがお店に持っていったお金はいくらですか?
☆きよえさん…いきものががりのボーカル吉岡聖恵さんから拝借。すべてそろえてしまうほど大ファンなのです(*^^)☆

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