Newみんなの算数講座50 ザ・N進法(前編)

Newみんなの算数講座50 ザ・N進法(前編)

ニューみん算講座。ついに節目の50回目を迎えました。記念の50回目のためにとても面白い内容を使わないでとってありました。今回と次回は2回連続でN進法の講座です。われわれがいつの間にか洗脳されてしまっている数の常識に、たまにはさからってみない?という話です。ぜひいつもとちがう数の仕組みを楽しみながら算数の知識を増やしてくださいね。

洗脳なんて言葉を使ってしまいました。洗脳は言い過ぎだとしても、N進法を考えるときの敵は数の仕組みに対する思い込みかな。われわれは小さい頃から数は10ずつ束(たば)にするものだと思い込んでますよね。そしてその前提で10進法という数の仕組みを毎日当たり前のように使ってます。
1、2、3、4、5、6、7、8、9
ここまでがひとけたの数で、この次が10です。つまり一の位は9がマックスで、その次は一の位を0にクリアーし、クリアー1回の履歴として十の位を1にします。99まで進むと十の位もマックスだから、十の位も一の位もクリアーして百の位を1にします。99の次は100ですね。この仕組みが10を束と考える10進法ですね。

もちろん日常生活では10進法に何の問題もありません。10進法は日本に限らず世界の常識ですから。身のまわりで純粋な10進法といえないのは時間ぐらいかな。9時59分から5分たつと10時4分。60以上の整数を使わない時間の表し方は普通の10進法とはちょっと違いますね。それでも時間を読むときは、にじゅうさん分(23分)のように10進法と同じように読むから、それほどの違和感は感じないでしょう。

が、しかし!

算数や数学の世界には、もっともっと明確に10を1つの束としない考え方が存在します。これから説明するN進法には10を束とするという固定観念は一切ありません。ときには2が束だし、ときには5が束です。束が8ずつのときも12ずつのときもあります。読み方も10進法とは違いますね。10進法以外の数は、たとえば125なら「いちにーご」のように棒読みすることになってます。日常生活で使うことはないと思いますが、算数や数学のテストにはとてもよく出題されます。テストに限らず、頭の体操にはもってこいのユニークな考え方ですよ。

では、N進法の例として2進法、5進法、8進法、12進法を解説することにします。数字は0から9まであって、数は10ずつ束にするという常識にはこだわらないでくださいね。

2進法
数字は0と1しか使えません。0と1だけを使って数を表していきます。10進法は各位9がマックスでしたが、2進法では各位1がマックスです。1の次は10、10の次は11ですが、2進法の11は10進法の99と同じだから、11の次は早くも100になります。
1、10、11、100、101、110、111、1000、1001、1010、1011、1100、1101、1110、1111、10000、・・・

5進法
0から4までの5個の数字を使います。5から9の数字は存在しません。各位のマックスは4です。44の次が100です。
1、2、3、4、10、11、12、13、14、20、21、22、23、24、30、31、32、33、40、41、42、43、44、100、・・・

8進法
0から7までの8個の数字を使います。数字8と9は存在しません。各位のマックスは7です。77の次が100ですね。
1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、20、21、22、23、・・・、65、66、67、70、71、72、73、74、75、76、77、100、・・・

12進法
0から9までの数字と、12進法用に追加した2個の数字、合計12個の数字を使います。追加する数字はA、Bを使うことが多いようです。各位のマックスはBです。Bの次が10、BBの次が100ですね。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、A、B、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、1A、1B、20、21、22、23、・・・、98、99、9A、9B、A0、A1、A2、A3、・・・A8、A9、AA、AB、B0、B1、B2、B3、・・・、B8、B9、BA、BB、100、・・・

これらの例のように、N進法とは0から(N-1)までのN個の数字を使って数を表す方法です。Nまでの数字ではないことに注意してください。たとえば5進法で使える数字は5までではなく4までです。

では次に、こうしたN進法で表された数が普通の10進法のいくつにあたるのか?という変換について、具体的な問題を使って説明します。算数ではここが一番大事なところです!
*逆の変換10進法→N進法は次回の後編で扱います

N進法の数を10進法の数に変換する問題です。
(1)2進法の11010を10進法の数に直してください。
(2)5進法の3401を10進法の数に直してください。
(3)8進法の765を10進法の数に直してください。
(4)12進法の6A8を10進法の数に直してください。

N進法の数を10進法の数に変換するときは、各位の数字と各位の位取りをかけ算したものをすべて合計します

N進法の位取り
N進法の位取りは10進法の位取りが下位から順に、1の位、10の位、10²(=100)の位、10³(=1000)の位、104(=10000)の位、…となるのと同じように考えてください。10進法は下位から上位の位へ10倍ずつ上がりますが、N進法はN倍ずつ上がります。1の位はすべてに共通です。

2進法
下位から順に
1の位、2の位、2²(=4)の位、2³(=8)の位、24(=16)の位、…です。

5進法
下位から順に
1の位、5の位、5²(=25)の位、5³(=125)の位、54(=625)の位、…です。

8進法
下位から順に
1の位、8の位、8²(=64)の位、8³(=512)の位、…です。

12進法
下位から順に
1の位、12の位、12²(=144)の位、12³(=1728)の位、…です。

*ここに示した例以外のN進法もすべて同様です。

では設問について10進法に変換していきます。各位の数字と位取りを対応させた図を作ってみました。左から上位の位です。
(1)

各位の数字を位取りとかけ算して合計します。
4×1+23×1+2×1=16×1+8×1+2×1=16+8+2=26
数字が0の位はスルーしてよいです。2進法の場合、0以外の数字は1しかないから、1倍も省いて16+8+2のように位取りをたし算して大丈夫です。

(2)

各位の数字を位取りとかけ算して合計します。
3×3+52×4+1×1=125×3+25×4+1×1=375+100+1=476

(3)

(1)(2)と同様です。
2×7+8×6+1×5=64×7+8×6+1×5=448+48+5=501

(4)

12進法には9より大きいひとけたの数字A、Bがあり、10進法への変換ではAを10、Bを11と考えます。
122×6+12×A+1×8=144×6+12×10+1×8=864+120+8=992


数字は0から9という常識をくつがえしたN進法。ここまでどうですか? たまにはふだんの発想を捨てた数の世界に身を置くのも楽しいことですね。ようは数字が10個あるから10進法が成り立つわけで、数字を減らしたり増やしたりすることで、10進法以外の数の表し方も生まれるわけです。算数の問題でよく見かけるのは2進法~5進法と8進法かな。Nが10を超えるN進法は算数ではレアだと思いますが、コンピューターの内部記憶などでは16進法が使われたりしてますね。パソコンをよく使う人なら、なにかのときに5AE0のような数字と英字が混ざった表示を見たことありませんか? あれが16進法ですね。16進法は9のあとにA~Fの英字を追加して使い、4ケタの最大数はFFFFです。これは10進法の65535を表してますよ。同じケタ数で10進法の6倍以上の事柄が記憶できるということですね。

N進法の知識は算数のみならず、中学や高校の数学、就職試験などでも活きてくるでしょう。もしN進法を忘れたら、またこのページを読みにきてくださいね。ずっとここに置いてありますから;^^)
では次回の後編でもう一回N進法講座を続けます。今回と逆に10進法の数をN進数の数に変換する方法を中心に取り上げたいと思います。それじゃあ次の後編でまたお目にかかりましょう。さよなら~!

みなさんへの宿題
次のN進法の数を10進法の数に直してください。12進法では0から9に続いてAとBを数字として使うことにします。
(1)2進法の110111
(2)4進法の3123
(3)12進法の7B4

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