NEWみんなの算数講座81 数え方のアタリマエ

NEWみんなの算数講座81 数え方のアタリマエ

こんにちは。前回節目の80回目を迎えまして、今回からは100講座が目標です。もちろん100回で終わらせるつもりはないですが、受験生といっしょで目標は励みになりますからね。

というわけで今回は81回目。「数え方のアタリマエ」と題して、4年生以上の人なら理解できるやさしい内容を書こうと思います。むかし書いた11回目の講座にも関連しますが、大事なことなのでもう一度書くことにしました。ではさっそく問題から。

1、3、5、7、9の数字が書かれたカードが1枚ずつあります。このなかから3枚のカードを選んで並べてできる3ケタの3の倍数は何通りありますか?

これは場合の数というジャンルの問題ですね。
うまくいく例を書くと、1、3、5のカードを使えば、どのように並べても3の倍数が作れます。
135÷3=45
315÷3=105
513÷3=171
どれも3で割り切れるから3の倍数ですね。

そうそう、知っている人も多いと思いますが、3の倍数には次のような特徴があります。

3の倍数の性質

各位の数字の合計が3の倍数のとき、その整数は3の倍数である!

例 135
1+3+5=9 ➡ 9は3の倍数 ➡135は3の倍数

このように各位の数字をすべてたしたとき、その合計が3の倍数になる整数は必ず3の倍数ですから覚えておいてくださいね。

*いろいろな倍数の判定法について6回目の講座にまとめてありますから、ぜひ参考にしてください。

話を戻します。
1、3、5の数字を並べて3ケタの整数を作ると、並べ方は全部で6通りあります。さっきもその一部を書きましたが、今度は全部書いてみましょう。

135、153、315、351、513、531

6通りありますね。次のポイントも知っておくとよいでしょう。

【順列】P個の違うものを並べる場合の数
 =Pから始めて、1までの整数をすべてかけ算した積(通り)

(例)上の問題では3つの違う数字を並べるから 3×2×1=6(通り)

*同じものがあるときは、この計算ではダメなので気をつけてください。
たとえば3枚のカードが1、3、5ではなく1、1、3の場合は、6通りではなく、
113、131、311の3通りです。

ここまでの話は準備です。ここから問題の解答を考えていきましょう。

今回のような問題では、上に書いたような同じカードの並び替え(135、153のような)のことはあと回しにして、
まず最初に、5枚のカードうち、どの3枚を選べば3の倍数が作れるかという選び方のパターンを先に考えます。
(1、3、5)以外に(3、5、7)のように選んでもOKです。3+5+7=15(3の倍数)だから、3、5、7を選んでも3の倍数が作れますね。

じつはこのような3の倍数が作れる3枚のカードを選び方は全部で4パターンあるのですが、どうすればその4パターンをモレなく探すことができるでしょう?じつはこの作業がとても大事なポイントなのです。ところが、この作業をしっかりできる人が意外に少ないです。行き当たりばったりの雑な調べ方など、そのときはたまたま合っていても、不安定なやり方をする人が多いです。

今回は僕がていないなやり方を示しておきますから、みなさんが問題を解くときの参考にくださいね。

〈3の倍数が作れる3枚のカードの選び方を調べるお手本〉
・小さい順に調べます。一番小さいのは135、次が137ですね。
(1、3、5)(1、3、7)(1、3、9)(1、5、7)(1、5、9)……

このとき、右に現れる数字が左の数字より小さくなるものは考えません。
(1、5、3)はふくまれていないでしょう?
それは(1、5、3)は(1、3、5)と数字の並ぶ順番がちがうだけだから、ここでそれをふくめると、あとあとおかしなことになってしまうのです。
左の数字<右の数字 を守ってください。
*数字が並ぶ順番のちがうものは、解説の最後でちゃんと計算します。

では10通りのカードの選び方と、それらの数字の合計、並べたときに3の倍数が作れるかどうかを書いておきます。異なる5枚のカードから3枚を選ぶパターンは全部で10通りです。この問題ではそのことも知っていると有利です。(組み合わせ 14回目の講座参照)

この表のなかで、並べたときに3の倍数ができるカードの選び方は、黄色い色をつけた4パターンです。

問題の解答は4通りではないですよ? 最後に大切なことを考えて解答に着地です。
いま上の表であげた4パターンは数字の組み合わせを選んだだけなので、それぞれに並び替えがあることを忘れてはいけません。並び替えがそれぞれ6通りあることは最初にも少しふれました。
1、3、5の並べ替えは、
135、153、315、351、513、531でしたね。

このことは表の4パターンすべてに同じだから、問題の解答は、
4×6=24通り です。

***
数え方のアタリマエ、どうでしたか?わかりやすかったかな? 表まで作らなくてもよいですが、10通りを書いてていねいに調べるのが基本方針です。思いついた順番に広い上げるのはダメなやり方で、モレが生じやすいです。たかだか10通りです。こうした問題に慣れてくると判断も早くなりますし、それほど時間もかからなくなるでしょうね。
じつはこの問題にはさらにおもしろい広がりがあります。使用する数字に0が入っていたり、あるいは同じ数字のカードが何枚かふくまれていたり。そんな広がりについてはそのうちまた書きたいと思います。
ではみなさん次回の講座までお元気で!

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