みんなの算数講座94 仕事フエフエ算

みんなの算数講座94 仕事フエフエ算

みなさんこんにちは。今回は、前回に引き続き仕事算です。いきなりこの講座から読むと理解が大変かもしれません。先に前回の講座をお読みになってからこちらを読むとわかりやすいと思います。

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まず前回の最後の問題の解説です。
【水槽の満タン量を48とすると、給水管Aの1時間あたりの給水量は12、給水管Aと排水管Bをいっしょに使ったときの給水量は1時間あたり4です。このことから、排水管Bの排水量が1時間あたり8(=12-4)であることがわかります。したがって、排水管Bだけを使って水そう満タンの水を流すには、48÷8=6時間かかります。】

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今回の内容は、仕事算を応用させた仕事フエフエ算です。僕がつけた名前ですから、塾のテキストや参考書にはのってません。でも名もない平凡な解説は印象に残りませんよね?少し時間がたてば忘れてしまうでしょう。ユニークな名前がついていると、けっこう忘れないものです。というわけで、ここぞのネーミングは僕の十八番(おはこ)となっています(笑)

ではさっそく仕事フエフエ算の問題を見ていただきましょう。

ある仕事を仕上げるのに、A君だけですると32日、B君だけですると48日、C君だけですると96日かかります。この仕事をA君、B君、C君の3人でやり始めましたが、途中でB君が3日、C君が6日、病気で休んでしまいました。この仕事を終えるのに全部で何日かかりましたか?

これが仕事フエフエ算の問題です。
正直に書くと、本当は仕事は増えないです。問題に書いてある「ある仕事」は決まった量の仕事ですからね。それでも僕がこの問題を仕事フエフエ算と呼んでいるのは、仕事が増えたと仮定して解くとすごくわかりやすいからです。では解説に入ります。

「ある仕事」を、A君、B君、C君が要した日数32日、48日、96日の最小公倍数を使って96とします。
*32と48が一番大きい96の約数になっています。このような場合、最小公倍数のすだれ式筆算は不要で、一番大きい96が最小公倍数です。

各人の1日あたりの仕事量を調べます。
A君の1日あたりの仕事量 ⇒ 96÷32日=3
B君の1日あたりの仕事量 ⇒ 96÷48日=2
C君の1日あたりの仕事量 ⇒ 96÷96日=1

「ある仕事」が消化された様子を次のように図示してみます。

この図の意味はわかりますよね?
仕事を休んでいないA君が働いた日数を□日として、B君とC君については休んだ日数を考慮しています。この図を書くと、とても気持ちよく問題が解けますから、みなさんも機会がきたらマネしてくださいね。

「……」の部分は途中の日数を省略していますが、計算してみないと、どの程度の日数が省略されているかはまだわかりません。
さきほど「ある仕事」を96に決めましたから、ピンクの数字の合計はもちろん96です。A君は皆勤、B君が3日、C君が6日休んで96の仕事が終わったのです。

しかし上の図のままでは3人が働いた日数に違いがあるから、全日数(□日)を計算することができません。そこで今回のテーマ仕事フエフエ算の発想です。
B君、C君が働いた日数を増やして、図を次のように直します。

青いワクで囲んだところに着目してください。本来B君、C君がお休みしたところを働いたことにしてあります。
するとさっきまで96だった全体の仕事量は、B君で6(←2×3)、C君で6(←1×6)、合計12増えますから、全体の仕事量は96+12=108になります。

このように働いた日数を増やしてみると、あとはとても簡単です。3人が1日で働く仕事量の合計は6(←3+2+1)だから、全体の仕事量108を終えるのにかかる日数は、108÷6=18日。これがこの問題の解答(図の□にあてはまる日数)です。

解答を確かめてみましょうか。
A君が働いたのが18日、B君は3日休んだから働いたのは15日、C君は6日休んだから働いたのは12日です。
3×18日+2×15日+1×12日=54+30+12=96
しっかり「ある仕事」の96が消化されています。
*図の「……」に隠れた日数は10日でした。これは解いてみなければわからないことです。

働きのよいA君が休まずに働いているのに、働きの悪い2人が休んでいる…
仕事ができる人ほどよく働き、できない人ほどよく休む。世の中往々にしてそんなもんかもしれませんね。これは冗談です(笑)

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今回は仕事フエフエ算の解説でした。おもしろいでしょう?仕事算の基本知識が備わっていれば、読んで理解するのはそれほど難しくなかったと思います。しかし「こうやって聞けばわかるけど、自分では気づかないな~」という感想が多いのではないでしょうか?
それはとてもよくわかる感想です。自分もよく知らないジャンルを読めば、同じ感想になると思います。算数には、こうしたナルホドの工夫がたくさんあります。それを知らないとどうしても遠回りすることが増えてしまいます。僕の講座は、みなさんにナルホドの工夫がたくさん届けられるよう、これからも書き続けていきたいと思ってます。ニューみんなの算数講座をお忘れなく、ちょくちょく読みにいらしてくださいね。

さあ100講座まであと6本!頑張ります! 次回の講座もどうぞお楽しみに~。

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