NEWみんなの算数講座95 互いに素という条件

NEWみんなの算数講座95 互いに素という条件

みなさんこんにちは。ニューみん算講座95回です。5の倍数回に達したので、お宝ファイルが1冊子増えて全19冊子になります。(お宝ファイルについては講座の最後をご覧ください)

今回の講座では、整数問題のよくできた良問を題材にして、約数、公約数周辺のお話をしようと思います。互いに素(たがいに・そ)という言葉が出てきますよ。みなさんもぜひいっしょに頭を動かし、整数の世界に浸ってみてください。
ではさっそく問題です。

整数Aと42には公約数が4つあります。Aとして考えられる2ケタの整数は全部で何個ありますか?

すごくシンプルな問題文ですね。パッと見た感じはそんなに難しそうな気はしません。ところがこれがなかなか対処に困る問題なんですよ。問題がシンプルすぎて、どこに糸口を見つけたらよいのか悩んでしまう感じでしょうか。

では解説を始めますので、がんばってついてきてください。整数Aに当てはまる整数はけっこうたくさんありますよ。

まず、次の性質が頭にないと解説の路線に乗れません。

公約数は、最大公約数の約数!

簡単な例として20と30で考えてみます。
20と30の最大公約数は10ですね?
そして10の約数は1、2、5、10です。この1、2、5、10が過不足なく20と30の公約数です。公約数というと、つい最大公約数だけに目がいきがちですが(すだれ算の計算が有名だからでしょう)、最大公約数というのは公約数のなかで一番大きいものであり、ふつうに公約数といえば最大公約数以外の公約数もあります(たとえば1は必ず公約数)。上の1行はしっかり抑えてください。

公約数が最大公約数の約数ということから、問題の条件を次のようにとらえることができます。

Aと42に公約数が4つある
Aと42の最大公約数が約数を4つ持つ整数

大丈夫ですね?Aと42の最大公約数をPとすると、Pの約数が4つあるから、Aと42の公約数が4つということです。

次にポイントになるのは、ここが単純なことで意外と盲点になってしまうようですが、

Aと42の最大公約数Pは42の約数の中に含まれています。

Aと42の最大公約数とは「Aと42に共通する約数の中で一番大きいもの」だから、Aと42の最大公約数が42の約数に含まれているのは当たり前ですね。

話を進めます。
「Aと42の最大公約数P」の候補になる42の約数は次のとおりです。

Aと42の最大公約数Pの候補(=42の約数)
1、2、3、6、7、14、21、42

Pは約数を4つ持つ整数だから、この候補の中から約数を4つ持つ整数を探します。該当するのは6と14と21です。

6の約数(4つ)1、2、3、6
14の約数(4つ)1、2、7、14
21の約数(4つ)1、3、7、21
*1の約数は1だけ。2、3、7は素数だから約数は2つ。42には8つの約数があります。
*約数の個数の数え方については本講座最長老の1回目の講座もご覧ください。

あとひと踏ん張りです。Aと42の最大公約数Pは6、14、21のどれかです。
その3つの場合に分けて、すだれ算をイメージしながらAを調べます。

●P=6のとき


最大公約数のPが6だから、Aと42は6で割り切れます。
このとき、□と7は互いに素といって、1以外に公約数を持たない関係でなくてはなりません。つまり、6で割れたあとに他の整数で割れることはないということです。もし6に続いて他の整数で割れたら、最大公約数が6ではなくなってしまうからです。
*算数界の専門用語コーナーにも「互いに素」の説明があります。

7は素数だから、□が7の倍数でなければ互いに素の条件はクリアします。
すだれ算の計算方法より、 A÷6=□  ➡  □×6=A です。
Aが2ケタという問題の条件を考えると、
□に入る整数は2、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、15、16の13個です。
*□=1はAが2ケタにならない。
*□=7、14は「□と7が互いに素」に反します。
*□=17以上はAが2ケタに収まりません。

問題で求めるのは個数ですが、整数Aを列挙すると、
12、18、24、30、36、48、54、60、66、72、78、84、90です。(13個)

●P=14のとき


P=6のときと同じように考えます。□と3が互いに素であること、□×14で求めるAが2ケタであることに注意すると、
□に入る整数は1、2、4、5、7の5個です。
*□=3、6は「□と3が互いに素」に反します。
*□=8以上はAが2ケタに収まりません。

整数Aは14、28、56、70、98です。(5個)

●P=21のとき


考え方は同様です。□と2が互いに素であること、□×21で求めるAが2ケタであることに注意します。
□に入る整数は1と3の2個です。
*□が偶数のとき、「□と2が互いに素」に反します。
*□=5以上はAが2ケタに収まりません。

整数Aは21、63です。(2個)

お疲れさまでした。以上ですべてのAを求めることができました。考えられるAは全部で13+5+2=20個あります。

***
いかがでしたか?すだれ算は、最初に並べて書く2数がわかっていれば簡単なのですが、どちらかが(両方が)わからないときは、逆からたどって調べますので「互いに素」の制約を気にしなくてはなりません。慣れていないとウッカリするところかもしれません。今一度、最大公約数を求めるすだれ算について、計算方法の確認をしてくださいね。
【最大公約数のすだれ算➡最初に並べた数をすべて割れる数で割り、割れる数がなくなったら、割った数全部をかけ算して求めます】

今回「約数が4つ」というキーワードがありましたから、近々、約数の個数別に整数を分類するという講座も書きたいと思います。100回目の記念講座をそれにしましょうかね。
それでは今回の講座はここまでにします。また次回の講座でいっしょに算数を勉強しましょう。

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