Newみんなの算数講座2 約数の総和の求め方
前回は約数の個数を求めましたが、今回はそれを応用させて、約数の総和の求め方について考えてみることにしましょう。
この方法を知っている人は、算数を勉強している人のごく一部だと思います。
ほかの人が知らないことを先に知る!
算数に対する自信ってそんなところから芽生えたりするんですよね。期待して読んでくださいね。
約数の総和というのは、約数をすべて合計するといくつになるか?ということです。
では、次の問題を考えてみます。
整数72の約数の総和はいくつですか?
前回の黒板にも書きましたが、72は100以下の整数では約数の個数が最多の12個あります。
(60 72 84 96が四者首位タイ)
12個ならさくらんぼ方式でも書けないことはなさそうですね。
今回のテーマは、これらの総和を求めることです。
まずは自力でたしてみましょうか。紙に書いて、たした数を消したりしながら、上手にたしてみてください。なるべくピッタリになるように組み合わせるのがいいかな。
一例を示しますね。
(72+18)+(36+24)+(12+8)
+(9+1)+(6+4)+(3+2)
=90+60+20+10+10+5=195
自力で答えを出すことができました。195が正解です。
しかしもっと大きい整数で約数の個数が多くなると、さくらんぼ方式も大変だし、実物の約数を書き出してダイレクトにたすのは簡単ではないでしょう。
じつは約数の総和も簡単な計算で求めることができるのです。
ではさっそくやり方を説明します。手順1は前回と同じです。
手順1
約数の総和を求めたい整数を素因数分解します。
72=(2×2×2)×(3×3)
手順2
それぞれの素数の個数に応じて、次のような計算を行います。
素数▲が1個のとき→ ▲+1
素数▲が2個のとき→(▲×▲)+▲+1
素数▲が3個のとき→(▲×▲×▲)+(▲×▲)+▲+1
*素数が4個以上に増えても同じ要領です。
72を組み立てる素数のうち、
素数2は3個だから
(2×2×2)+(2×2)+2+1
=8+4+2+1=15
素数3は2個だから
(3×3)+3+1=9+3+1=13
手順3
手順2で求めた値をかけ算すると、約数の総和を求めることができます。
15×13=195
自力の計算と同じ答えになりましたね。
ではこの方法の理由を説明することにします。
説明には次のような約数マトリックスという表を使います。
黒い数字はそれぞれのマス目のタテや横の長さです。タテは素数2の使い方を長さで区別し、横は素数3の使い方を長さで区別しています。
タテの長さ、横の長さが決まれば約数が決まります。マス目は全部で12個ありますね?マス目の数が72の約数の個数になっています。
たとえば2を1個、3を1個使えば、2×3=6という約数になり、2を2個、3を1個使えば、2×2×3=12という約数になります。
マス目の中の青い数字が72の具体的な約数です。タテと横をかけた長方形の面積が、ひとつひとつの約数を示しているわけですね。
ここで注意したいのは、素数2と3の片方だけを使っても約数はできるから、タテ、横ともに長さ1の線があります。8という約数は(2×2×2)×1ということですね。さきほど手順2でたした1はこの意味だったのです。
*素数2と3を両方使わなければ1×1=1という約数になります。
あと一歩です。
72の約数の総和は、上の表全体の面積だから、
表全体のタテの長さ 1+2+4+8=15
表全体の横の長さ 1+3+9=13
タテの長さと横の長さをかけて、72の約数の総和は無事に
15×13=195となります。
約数マトリックスを用いた約数の総和の求め方、楽しんでいただけたでしょうか?
鋭い人はお気づきになったかもしれませんが、整数を組み立てている素数が3種類以上になると、平面での説明はできなくなりますね。その場合は立体かな。4種類以上だと立体も無理ですね。でも安心してください。素数の種類が何種類になっても、同じ方針で大丈夫ですから。
*今回の講座の復習テストが講座106にあります。
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