Newみんなの算数講座1 約数の個数の求め方
Newみんなの算数講座の記念すべき第1回は、整数問題のジャンルから、約数の個数の求め方についてお話をしたいと思います。
まず簡単に約数のおさらいをしておきましょう。約数とは、ある整数を整数の範囲で割りきれる数のことです。具体的に書いたほうがわかりやすいでしょう。
8の約数 1 2 4 8
20の約数 1 2 4 5 10 20
このように小さい約数を思いついたら、積が8や20になるように、対になる約数も同時に書いていくとよいでしょう。さくらんぼ方式という名前をつけてくれた生徒がいましたよ?
8には4個の約数があり、20には6個の約数があります。
では、次の問題を見てください。
整数360には何個の約数がありますか?
1 2 3 4 5 6 8 ・・・・・
かなりいっぱいありそうですよ?
根気よく書いて調べていけば、なんとかわかるかもしれませんが、それはかなり疲れそうですね。
さくらんぼ方式?
確かにいい方法ではあるのですが、この場合は約数の個数がけっこう多いから、途中で何かを抜かしてしまう可能性もありそうです。さくらんぼ方式を使っても、かなりの注意深さと辛抱強さが必要でしょう。
そこで今回のテーマ。
約数の個数を計算式で求めることはできないだろうか?
これができたら嬉しいですよね。期待感が高まってきましたか?
はい。ちゃんとできるんですよ。
ではやり方を解説しますから、しっかり読んでください。
手順1 約数の個数を求めたい整数を素因数分解します。素因数分解とは、整数を素数の積の形で表すことです。
360=(2×2×2)×(3×3)×(5)
手順2 その結果について、素数の個数を種類別に数えます。
2→3個 3→2個 5→1個
手順3 手順2の個数にそれぞれ1を加えます。
3+1=4 2+1=3 1+1=2
手順4 それらをかけ算します。
4×3×2=24(個)
これが360約数の個数です!
素数 1とその数自身以外に約数を持たない数(1は素数ではない)
もっとも小さい素数は2です。2以外の素数は必ず奇数です。素数にはいまだに謎が多く、素数が無限にあることはわかっていますが、大きな整数が素数かどうかを簡単に判定する方法は発見されていません。
100以下の素数 25個あります。
2、3、5、7、11、13、17、19、
23、29、31、37、41、43、47、
53、59、61、67、71、73、79、
83、89、97
では、さきほどの方法の理由についても説明しておきます。
約数とは、素因数分解したときに現れる素数(360を組み立てている部品)を、いろいろな組合せでかけ算することによって作ることができます。
たとえば360は2が3個、3が2個、5が1個という部品からできていますが、その一部(または全部)を使ってかけ算を行うと、
(2×2)×3=12
(2×2×2)×5=40
のように360の約数を作ることができるのです。
つまり、360を組み立てている素数を使って、かけ算してできる積のパターンが何通りあるか?
そのパターンの数が約数の個数ということになりますね。 かけ算をせず、どれかの素数を単独で考えても約数です。
そこで、かけ算するときに、それぞれの素数の使い方が何通りあるかを考えると、
2という素数は
3個使う 2個使う 1個使う 0個使う →4通り
3という素数は
2個使う 1個使う 0個使う →3通り
5という素数は
1個使う 0個使う →2通り
ここで場合の数の考え方を使いますが、2の使い方が4通り、3の使い方が3通り、5の使い方が2通りあるから、これらを組み合わせてできるかけ算のパターンは4×3×2=24(通り)
したがって360の約数の個数を24個と求めることができるわけです。
あ、ボクが書く前に気づいた人がいるみたいですね。そう、手順3でそれぞれ1をたしたのは、その素数の使い方に、0個使う(使わない)という使い方があるからです。また、どちらの素数も使わない場合は1という約数が生まれます。
どうですか?今回の内容は理解してもらえましたか?
素因数分解を利用して約数の個数を求めるテクニック楽しいでしょう?
この話をさらに広げていくと、約数マトリックスというユニークな図形の話もあるのですが、それは次回の講座でお話することにしますね。
*今回の講座の復習テストが講座106にあります。
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