Newみんなの算数講座57 流水算のルール

Newみんなの算数講座57 流水算のルール

今日もニューみん算講座へようこそ~。楽しく算数を勉強していってくださいね。

今回の講座57では、速さの文章題から、流れのある川を船やボートが上り下りする流水算を取り上げたいと思います。流水算にはいくつかの大事なルールがあります。 そのルールは算数のテストに書いてあるわけではなく、問題を解く人が知っておくのが当たり前という感じになってますね。ではみなさんがテストで困らないように流水算のルールから書きましょう。このルールを覚えておかないと流水算を解くことはできませんよ。

流水算のルール

流水算には区別しなくてはならない4種類の速さがあります。

①静水(せいすい)上の速さ
静水を辞書で引いたら〈ゆれたり流れたりせず、静止している水〉とのってました。あまり見かけない熟語ですね。僕も算数の流水算以外では使ったことないと思います。
流水算で使う静水上の速さとは、流れのない状態での船やボート(以下、船)の速さという意味です。船はエンジンの動力や、人間がオールをこぐ力で動くでしょう?その力だけによって、船が湖のような平らで静かで流れのない水面を走るときの速さのことです。

②川の流れの速さ(流速)
流水算で船が上り下りする川には必ず水が流れています。水は高いところから低いところへ流れるから、川の場合は上流から下流に向けて水が流れます。大切なことは、川の水の流れにも速さを考えるということです。ふつう速さといえば、人間や動物や乗り物で考えることが多いですが、光や音にも速さがあるように、動くものには例外なく速さがあります。川の水も流れて動いてますから、やはり速さがあるのです。
〔参考〕
光の速さ→約秒速30万km(1秒で地球を7周半)  5分でわかる光の速さ!
音の速さ→秒速340m(1気圧15℃) 音の速さ計算サイト

③上りの速さ
船が川を上るとき、船は上流から流れてくる川の流れに逆らって進むため、その船の静水上の速さより遅くなってしまいます。次の式を覚えてください。

上りの速さ=静水上での速さ-川の流れの速さ

④下りの速さ
上りのときと反対です。船が川を下るときは、水の流れと同じ方向に進むから、川の流れが船が進むのをあと押ししてくれます。下りの場合は、船は静水上の速さより速く進むことができます。こちらも覚えてください。

下りの速さ=静水上での速さ+川の流れの速さ


以上が流水算で使う4種類の速さですが、流水算に強くなるためにはもう少し知っていてほしいことがあります。それもいくつか書きますね。

船は流れの速さだけでも進みます(ただし下りに限る)
船のエンジンを止めても、ボートの場合ならこぐのをやめても、下り方向なら川の流れの速さだけで船は流されて進みます。実際の流水算の問題でも、下り方向に流される船はよく登場します。川の流れにまかせて船がユラユラ流されている感じを想像してください。

よく使う式 その1
(下りの速さ-上りの速さ)÷2=流れの速さ

下りと上りの速さの差は流れの速さの2倍です。だから下りと上りの差を2で割ると流れの速さを求めることができます。

よく使う式 その2
(上りの速さ+下りの速さ)÷2=静水上の速さ

上りと下りの速さを平均すると静水上の速さになります。

上の2つの式の説明として僕がよく授業で使う図をのせておきますね。

流れを無視できる場合
上りの船Aと下りの船Bが同じ川の下流と上流から向き合って進むと、川の流れが+と-で相殺され、出会うまでにかかる時間は【川の距離÷静水上の速さの和】 で求めることができます。
川の距離÷(Aの上りの速さ+Bの下りの速さ)
=川の距離÷{(Aの静水上の速さ-流速)+(Bの静水上の速さ+流速) }
=川の距離÷(Aの静水上の速さ+Bの静水上の速さ)

ルール説明とアドバイスが長くなりました。やっと問題が出せますね。流水算の解き方のコツをつかんでくださいね。

ある船は、川を上流に向かって進むときは毎分144m、下流に向かって進むときは毎分216mで、つねに一定の速さで動きます。
(1)この川の流れの速さは毎分何mですか?
(2)この船が、この川の下流A町と上流B町を往復すると、下りには30分かかります。上りには何分かかりますか?
(3)A町からB町に行く途中、エンジンが故障しました。エンジンの修理を終えて再度スタートしたら、B町にはA町を出発してから120分後に到着しました。船が故障中に流された距離は何mですか?

(1)
ルールのよく使うその1で書いた (下りの速さ-上りの速さ)÷2=流れの速さ を使うのが早いでしょう。
(216-144)÷2=72÷2=毎分36m

(2)
上りと下りの距離が等しく、上りの速さ:下りの速さ=144:216=2:3だから、所要時間はその逆になって上りの所要時間:下りの所要時間=です。にあたる時間が30分だから、にあたる時間は30×3/2=45分です。
★速さの重要事項 距離が等しいとき、速さの比と時間の比は逆比になる

メモ 比を使わずに、216m/分×30分=6480mと川の距離を求め、6480m÷144m/分=45分という具体的な計算をしてもよいでしょう。

(3)
エンジンが故障している間、船は川の流れだけで下り方向に流されます。エンジンの故障がなければ45分で上るから(点線の部分)、エンジンの故障でロスした時間は120-45=75分で、実線の部分がロスした75分で流されてから上ったところです。
船が流れだけで流される速さは(1)より毎分36m、上りの速さは毎分144mだから、これらの速さの比は36:144=1:4。これを逆にして実線部分の時間の比は 流された時間:上った時間=4:1です。
つまり75分のうち流されていた時間は75分×4/5=60分で、流された距離は36m/分×60分=2160mです。


以上、今回は流水算を取り上げてみました。厳密に考えれば、川の水の流れが上流から下流のどこも一定ということはないでしょうし、船が水に当たる角度によって影響の受け方もちがうでしょうね。しかしそういうことは考えずに、ごく自然に船と川の流れの関係をとらえてほしいのが流水算です。流水算ルールは算数の中での地位を確立させていて、初めにも書きましたが、この講座のような説明は問題文には書いてありませんからね。算数プレイヤーの常識として、この講座の内容をしっかりと覚え、あとは問題を解いて流水算に強くなってください。

次の講座は平均算を予定しています。それではみなさん、次の講座でまた会いましょう。それまでお元気で~!

みなさんへの宿題
ある川に沿った2地点の間を2せきの船「小渕丸」と「黒田丸」が往復します。小渕丸は上りに1時間、下りに40分かかり、黒田丸は上りに30分かかります。黒田丸は下りに何分かかりますか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。