Newみんなの算数講座58 帰ってきたてんびん

Newみんなの算数講座58 帰ってきたてんびん

みなさん、こんにちは。ニューみん算講座58です。

この講座の初期に食塩水のてんびんについて書きましたよね?(講座3) あれは、食塩水と言えばてんびん、てんびんと言えば食塩水というぐらい有名な考え方ですけど、じつはてんびんが使える問題は食塩水だけではないんです。僕はウルトラマン全盛世代ですから、今回の講座を帰ってきたてんびんというタイトルにしましたよ(*^^) ではてんびんが活躍できるもうひとつのジャンル、平均算という文章題のお話を始めますね。

さて平均ってなんでしょう?
シンプルすぎて、言葉で説明しようとすると考えてしまいます。たとえばみなさん【左】ってどう説明します? 左手の方向では左がふくまれていて説明にならないです。以前本を書いていて困ったことがあり、辞書を引いてみたのですが、なんて書いてあったと思います? 左は「右の反対」だって(笑) 説明になってないと思ったけど、単純すぎる言葉の説明は辞書を書く人でも悩むのでしょうね。これとまったく同じ話が映画「舟を編む」に出てきたときは驚きました。世の中、同じことを考える人がいるんですね~(^^)/

すいません脱線してしまいました。平均も説明しにくい言葉ですが、平均の均という字は訓読みで「なら(す)」と読みます。平らに均す。均して平らにする。説明としては次のようにまとめておきますね。

平均
いくつかの量を、全体の合計を変えずに同じ大きさにならした(そろえた)量のこと。

平均の求め方
平均にはいくつかの種類がありますが、算数で使う平均は「全データの合計量」を「データの個数」で割る相加平均だけです。

平均(相加平均)=全データの合計量÷全データの個数

*その他の平均には相乗平均などがあります。相乗平均は全データの積をデータ数に応じた累乗根で表す平均です。2と3の相乗平均はルート6(=2449…)です。高校数学で出てくる (相加平均)≧(相乗平均) という有名な関係があります。2と3の相加平均は2.5だから相加平均の方が大きいですね。

言葉で説明すると手こずる平均ですが、イメージとしてはちょうど真ん中、可もなく不可もなく…というイメージですよね。では平均算の問題を出しますよ? 難しくないですが、経験がないと解きにくい問題かもしれません。

いままで何回かの理科のテスト(100点満点)がありました。いままでの平均点は77点でしたが、次のテストで95点取ると平均点が80点になるそうです。次のテストは何回目のテストですか?

とてもよく見かける平均算です。平均算には有力な解き方がいくつかありますが、この問題は面積図で解いてみましょう。平均にデータ数をかけると全体での合計になります。このことはいろいろな問題でとてもよく使われます。

算数の重要キーマンの面積図! タテの線が平均点、横の線がテストの回数を示しています。今までのテストの回数がわからないから回です。
左側の長方形の面積は77点×回。この面積が今までのテストの合計得点です。また、右側の長方形の面積が95点×1回で、これが次の95点のテスト(1回)です。
左右の長方形を平均化させて太線で囲んだ長方形にするとき、の長方形がの長方形に組み込まれて平均化します。つまりの面積との面積は等しいです。
80-77=3
95-80=15
3×=15×1
この式から=5とわかり、今までのテストの回数は5回です。これに1を加えて次回のテストは6(回目)です。

では次の問題です。てんびんが久々に帰ってきますよ?

ウカール進学教室に通う6年生が全部で56人います。この塾では算数のクラスをテストの成績に応じて1軍と2軍に分けています。ある回のテスト結果は、1軍の平均点が88点、2軍の平均点が56点、そして全体の平均点は68点でした。1軍と2軍の人数はそれぞれ何人ですか?

この問題も面積図で対応することはできますが、ここでは講座3以来久々にてんびんに帰ってきてもらいましょう。食塩水の問題でよく使うてんびんは、このような平均算にも使うことができます
*食塩水のてんびんを知らない人は講座3を読んでください。


ウデの左端に2軍の平均点、右端に1軍の平均点を書き、中央に全体の平均点を書きます。
支点中央から両端までの長さの比は、
(68-56):(88-68)=12:20=3:5 ←緑の数字

両端のおもりがそれぞれのクラスの人数にあたります。
てんびんの性質より、ウデの長さとおもりの重さは逆比の関係があるから
二軍の人数(左のおもり)と一軍の人数(右のおもり)の比は5:3になります。←オレンジの数字

6年生全体の56人を5:3に比例配分して、二軍の人数は56×5/8=35人、一軍の人数は 56×3/8=21人です。


以上今回は 面積図とてんびんを1回ずつ使って平均算の解説をしました。みなさんは面積図派かな?てんびん派かな?
テストの回数と平均点、2つのグループの人数と平均点が絡んだ問題は、だいたい今回のような解き方で解決できるでしょう。解説と逆に、初めの問題をてんびん、2問目を面積図を使って解いてみると、よりいっそう平均算の理解が進むのではないかと思います。

では講座58はここまでです。次の講座は元祖を改訂するか、新しく差し替えるか考え中です。なるべく早いうちに決めて発表したいと思います。またみなさんに算数のお話ができる機会を楽しみにしています。ではまた~!

みなさんへの宿題
ある算数予備校の秀才コース選抜テストを受験した生徒は270名でした。合格者の平均点は75.4点、不合格者の平均点は42.4点で、受験者全体の平均点は不合格者の平均点より8.8点高かったそうです。秀才コースの合格者は何人だったのでしょうか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。