Newみんなの算数講座17 生徒に教わった年令算

今回は年令算という文章題で、僕が教え子の発想にビックリした話を紹介したいと思います。もしかするとこの解法は算数の先生でも気づかないかもしれません。僕も言われるまで気づきませんでした(*‘∀‘)

それはこんな問題でした。

算数の世界では年令算と呼ばれています。シンプルな年令算は登場人物がふたりですが、上の年令算は登場人物が親ふたり、子供３人と多く、それが問題をやっかいにしています。最後の「２：１になる」という点もやっかいですね。

本題に戻ります。実際は年令の和が「２：１になる」のは何年後か？という問題です。

まずは塾などで教えるオーソドックスな解法から。

求める年数を①年後とすると、
(72才＋②)と(20才＋③) が２：１になります。両親は２人だから②を加え、子供は３人だから③を加えました。式で書くと
(72才＋②)：(20才＋③)＝２：１です。

このような式を比例式といいますが、比例式は内側の積と外側の積が等しくなります。外側は１倍だから省きますね。＊用語解説もご参照ください
(20才＋③)×２＝72才＋②
分配法則で(　)をはずして、
40才＋⑥＝72才＋②

比の数でイコールの左が④多い分、年令では右が32才多いから、
④＝32才です。
したがって①＝32÷４＝８年後 →答え

この解法はどこの塾でも教えるでしょうし、参考書にものってます。一番普通ですね。40才＋⑥＝72才＋② から先の処理は、右の線分図からも④＝32才がわかると思います。

さてここからがむかしの教え子Ｔ君の驚きの発想です！
Ｔクンの解法がオーソドックスな解法に比べて理解しやすいということはないかもしれません。それでも僕が講座で紹介したくなったのは、Ｔ君の発想の鋭さに感心したからです。頭の柔らかい子供の正しい発想をぜひ読んでみてください。

Ｔ君はこう言いました。
「最後の２：１になるというところを、等しくなるに変えたらどうですか？両親に関係する数を、すべて半分に調節すればできると思います」
そしてＴ君は問題を次のように直しました。

Ｔ君が修正したところわかりますね？
両親(ふたり)を親(ひとり)に変え、72才を半分の36才に変え、２：１になるの２を１にして１：１、つまり等しくなるという条件に直したのです。
つまりＴ君の発想は、初めの年令を半分にして、増える年令もふたりをひとりにすれば半分になるから、最終的な年令も半分で済むだろうということなのです。なるほどこうすれば最初に紹介した簡単な年令算になっています。

現在の年令差が36－20＝16才
親はひとりだから１年で１才ずつ年令が増え、子供は３人だから１年で３才ずつ年が増えます。すると１年で３－１＝２才ずつ差が縮まるから、
(36－20)÷(３－１)＝16÷２＝８年後 →答え

Ｔ君の考え方は賢いです。すべてを半分にすることで、面倒な問題を見事にやさしい問題に変えています。でもなかなか気づかない発想かもしれませんね。便利かも～と感じた人は、機会があったらＴ君をマネしてこの解法を試してみてください。もちろんオーソドックスな解き方を覚えてくれても大丈夫ですよ。オーソドックスこそ正統派の算数といえますからね。

じゃあ今回は短かったから、オマケでちょっとズルい解き方も教えちゃいましょうか。下の表のようにがんばって力づくで調べれば８年後に88：44＝２：１になりますね。テストでどうしても点数ほしいときはこれもありかな。頭使わないし応用きかないけどね。そんなに遠い未来ではないだろうと予想した？それならちゃんと頭使ってますね(^^)/

では今回はこれで終わりにします。また新しい講座を書きますから楽しみに待っていてください。