Newみんなの算数講座18 歩幅と歩数のガリバー問題

Newみんなの算数講座18 歩幅と歩数のガリバー問題

今回は、速さの問題の中から、意外と苦手な生徒が多い歩幅と歩数の問題を解説したいと思います。とても算数らしい考え方をするので、よく読んでしっかりマスターしてくださいね。

問題を出す前に登場人物の紹介から。

ガリバー
ガリバー旅行記に出てくるガリバーを想像してください。とにかくずうたいがデカく、ドシンドシンとごう音を響かせて歩きます。その反面、動きはノロい。嫌われたりもするけど、ホントは心の優しいやつなんだよね。

うさぎ
♫う~さぎお~いし、か~のやま~♪のうさぎです。くだらない話ですが、僕は小さい頃、うさぎがおいしいのかと本気で思ってました。「おいし」が美味しいではなくて「追いし」だと知ったのはオトナになってからかもしれません。え?同じ勘違いをしていた? それ、すごくうれしいです(笑)

ではここで問題を出します。

ガリバーが2歩で進む距離をうさぎは30歩で進みます。また、ガリバーが6歩進む間に、うさぎは110歩進みます。
(1)ガリバーとうさぎの速さの比を求めなさい。
(2)先に10歩進んだガリバーをうさぎが追いかけると、うさぎはガリバーに追いつくまでに何歩進みますか。

とてもよく見かける問題です。塾のテキストや参考書では歩幅と歩数の問題となってますが、僕の授業では「ガリバー問題」です。僕がガリと言いかけた瞬間、僕の生徒なら口をそろえて「ああアレね」
そういえば今までこういうネーミングをいくつしたかなあ? 数え切れないです。算数はインパクト(想い出)だと信じてますから。楽しいネーミングほど生徒はいつまでも忘れないみたいですよ。

少し言葉の説明をしておきましょう。

歩幅
1歩の長さのことです。等しい距離を進むとき、かかる歩数が少ないほど歩幅は大きいです。上の問題では、ガリバーが2歩で進む距離をうさぎは30歩だから、歩幅が大きいのは当然ガリバーです。

歩数
等しい時間内に何歩進めるか?
俊敏性(しゅんびんせい・動きが素早いかノロいか)と考えてください。ガリバーよりうさぎの方がすばしっこいでしょう? うさぎは歩幅は小さいけど、すばしっこさでは圧勝です。ガリバーがノロノロ歩いているうちに、うさぎはどんどん進みますね。歩幅はガリバーの勝ちですが、歩数はうさぎの勝ちです。

(1)
では、上の問題で歩幅の比、歩数の比を考えてみましょう。

歩幅の比
等しい距離をガリバーは2歩、うさぎは30歩かかるから、歩幅の比はこの数を逆にした比(逆比)になります。
ガリバー:うさぎ=30:2=15:1

歩数の比
等しい時間内に、ガリバーは6歩、うさぎは110歩進むから、歩数の比は、
ガリバー:うさぎ=6:110=3:55(歩数はそのままです。逆にしません)

ガリバーとうさぎでは、その体の大きさを考えても、一歩の歩幅はガリバーが大きいに決まっています。これが歩幅の比。しかし、すばしっこさについては圧倒的にうさぎでしょう。こちらが歩数の比。

ガリバーとうさぎの速さの比を求めるときは、歩幅歩数の両方を考えなくてはなりません。次の式を覚えてください。

速さの比〉=〈歩幅の比〉×〈歩数の比〉

実際に計算してみます。
ガリバーとうさぎの歩幅の比は15:1、歩数の比は3:55だから、これをかけ算して、ガリバーとうさぎの速さの比は
(15×3):(1×55)=45:55=9:11 →(1)の答え
歩幅のハンデを歩数で逆転して、うさぎの方が速いとわかりました。

(2)
次に問題(2)の解説です。
先にガリバーが10歩進んでいます。その距離をうさぎが追いかけていくと、うさぎがガリバーを追いかけ始めてから追いつくまで、ガリバーもうさぎも同じ時間進むから、両者が進む距離は速さの比と同じで9:11になります。(下の図の青い線の部分)

重要メモ 等しい時間で進む距離の比は速さの比と等しい

下の図のように、うさぎがガリバーを追いかけ始めてから追いつくまでに、うさぎが進んだ距離を11とすると、ガリバーが進んだ距離はです。するとガリバーが先に進んだ10歩分の距離が11-9=にあたることがわかり、にあたる距離は10÷2=ガリバーの5歩分です。11にあたる距離は5×11=ガリバーの55歩分ですね。
問題で求めるのは11の距離(ガリバーの55歩分)をうさぎが何歩かかるか?だから、最後にもう一度歩幅の比(ガリバー:うさぎ=1:15)を使って、
55×15=825歩が正解となります。 →(2)の答え

メモ 55歩と答えてしまう間違いが多いです。11の距離はガリバーなら55歩ですが、うさぎだとその15倍の歩数が必要です。ガリバーが1歩で進む距離をうさぎは15歩で進むのですから。


歩幅と歩数のガリバー問題。いかがでしたか?
歩幅の比と歩数の比をかけて速さの比を作ることが最初のポイントでした。ここは算数独特の考え方ですね。歩幅の方で逆比にするのを忘れないでください。
(2)は(1)で作った速さの比を利用して考えました。上に書いた線分図の意味がわかれば大丈夫です。慣れないと簡単ではないかもしれませんね。宿題も出したのでぜひ考えてみてください。

では今回の講座はここまでです。次回の講座でまた一緒に算数を楽しみましょう!

みなさんへの宿題
サザエさんが5歩で歩く距離をカツオくんは6歩で歩きます。また、サザエさんが10歩歩く間にカツオくんは7歩歩きます。いま、カツオくんが先に50歩歩いてからサザエさんがカツオくんを追いかけると、サザエさんは何歩歩いたところでカツオくんに追いつくでしょうか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。