NEWみんなの算数講座80 ユークリッドの互除法
ニューみん算講座、今回で第80講座に到達です。まだまだ通過点のつもりですが、キリのよい数は気分がいいです。節目の今回は、長方形から正方形を切り取っていくユークリッドの互除法(ごじょほう)についてお話をしましょう。僕も最初に知ったときは スゴいことを思いつく人がいるな~ と感動した記憶がありますよ。
このテーマは長方形からスタートします。
まずは簡単な例で、タテ10cm、横15cmの長方形にしましょう。その長方形の中に短い辺を1辺とする正方形を書きます。はじに寄せて書きますよ。図があったほうがいいですね。こんな感じです。
すると当たり前ですが、タテ10cm、横5cmの長方形が残ります。その長方形の中に、初めと同じように短い辺を1辺とする正方形を書きます。
こうなりますよね?
初めの長方形がきれいにすき間なく正方形に分割されました。
そのときここで重大な事実!このように正方形だけに分割できたとき、
最後に作った正方形の1辺の長さが、
初めの長方形のタテ、横の長さの最大公約数になっているのです!
10と15の最大公約数は5。間違いないですね?
もう1つ試してみましょうか。
今度は初めの長方形をタテ84cm、横120cmにしますね。
まず1辺84cmの正方形を1個収め、残った長方形の中に1辺36cmの正方形を2個収めます。そして最後に1辺12cmの正方形を3個収めると、初めの長方形が正方形だけに分割できますよ。
最後に収めた正方形の1辺12cmが、初めの長方形のタテ(84)と横の長さ(120)の最大公約数です。また間違いなかったですね。
で、これがどうしたかといいますと、いま説明した2例は比較的簡単な数だから、普通に計算しても最大公約数はわかると思いますが、もしこんな問題があったらどうしましょう?
689と1007の最大公約数はいくつですか?
両方を割れる数にはなかなか気づかないでしょうから困っちゃいますね。
じつはこんなとき、いまの考え方がすごく役に立つのです。タテ689cm、横1007cmの長方形で、いまと同じことをやると…
*数値が汚いから図は作りませんので、手もとの紙に書きながら確認してみてくださいね。
ア)1007÷689=1個あまり318cm
まず1辺の長さが689cmの正方形が1個収まります。
イ)689÷318=2個あまり53cm
次は〈689cm×318cm〉の長方形の中に、1辺の長さが318cmの正方形が2個収まります。
ウ)318÷53=6個 ➡ あまりナシ
次は〈318cm×53cm〉の長方形の中に、1辺の長さが318cmの正方形が6個収まります。
ここで初めの長方形が正方形だけに分割されるから、初めの長方形のタテ(689)、横の長さ(1007)の最大公約数は、最後に収めた正方形の1辺、つまり53とわかります。
ややこしいかな? 使いやすい知識としてまとめましょう。
最大公約数が簡単に判断できない2つの整数は、
①大きいほうを小さいほうで割り、以下、
②〈前の式の割る数〉を〈前の式のあまり〉で割ることを繰り返すと、
③割り切れたときの割る数が、初めの2数の最大公約数とわかります。
一生懸命説明しましたが理解していただけたでしょうか?
今回説明した最大公約数の求め方はユークリッドの互除法と呼ばれています。教え子が志望校の説明会に行ったとき、算数担当の先生がこの問題をプリントして配ったのだそうです。それを見せてもらいまして、これは講座に書かなくては!と思いました。これからも入試の題材になって不思議ないでしょう。みなさん、ユークリッドの互除法をぜひ覚えておいてくださいね。
では節目の80回目の講座はこれで終わりにします。ここまでくると100回目も見えてきました。一歩一歩前進します。また次の講座で一緒に算数しましょう! それではまた!
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