NEWみんなの算数講座79 9で割って余りが9?
ニューみんなの算数講座。改訂作業が加速しています。今回は79回目の講座の改訂版です。最初に書いたのも自分ですが、月日がたって読み直してみると、あっちもこっちも直したくなります。読みやすい講座を目指しての全講座改訂作業。あと20本ちょっとです。頑張ります。
このサイトのひな形(Wordpressといいます)に標準装備のコメントらんは海外などからの自動送信SPAMだらけに降参して撤去。かわりにメールフォームを入れましたので応援よろしくお願いしますね。
さて79回目の今回の講座。正直ちょっと難しいかもしれません。でもなるべくわかりやすく書きますから、最後まで頑張ってついてきてほしいです。理解できたらとても気分がいいと思うんですよ?
というわけで今回の問題です。
ある整数から、3ケタの整数Xを引く引き算で、整数Xの一の位を書き忘れて2ケタの整数として引き算してしまい、その結果、正しい答えより352大きくなってしまいました。整数Xを求めてください。
さてさてどうしましょう? ある整数も整数Xもわかってないし、一の位のどんな数字を書き忘れたかもわかりません。(整数Xは求めるものなのでわかってなくて当たり前ですけど)
わかっているのは正しい計算と間違えた計算の差だけ。ちょっと情報が少ない感じがしますよね。
しかしこれがなんとかなるんです。次のように考えるとしっかり答えがでてきます。
整数Xの各位の数字をA、B、C(どれも1ケタの数)とします。
整数X ➡ ABC (AひゃくBじゅうC)
すると間違えて引いた数(Yとします)は
整数Y ➡ AB (AじゅうB) になります。
XとYの差が352ですよね?
(YがXより352小さいから、引き算の答えが352大きくなりました)
整数XとYを式で表すと次のようになります。A、B、Cは各位の1ケタの数なので、整数X、Yを式で表すときは、百の位には100、十の位には10をかけてから、たすことになります。(一の位の×1は省略します。下に続く引き算の式では×1があると考えてください)
整数X ➡ 100×A+10×B+C
整数Y ➡ 10×A+B
XとYの差を式にしてみます。
整数X-整数Y
=(100×A+10×B+C)-(10×A+B)
=90×A+9×B+C …①
*100個のAが90個に減り、10個のBが9個に減り、Cはそのまま
さらに①式を 9×( ) の形に整理すると、
9×(10×A+B)+C …② となります。
*9で割れる部分を 9×( )の形に直しました。+Cはそのまま( )の外です。
さてここまで進んだ②式を見ると、( )の中が整数Yを表す式と同じになっていることがわかります。つまり②式はさらに変形できて、
9×(10×A+B)+C
=9×Y+C …③ になりますね。
結局整数Xと整数Yの差は、整数Yの9倍にCを加えたものなのです。不思議な感じがするかもしれませんが、ここまでの計算に間違いはないので、③式は正しいです。
ここで問題文に戻って確認します。整数Xと整数Yの差は352でしたよね。
そう、③式は352と等しい。9×Y+C=352 です。
まだわからない文字が2つありますが、Cは1ケタの数だから、0から9に限られます。
352を9で割ってみるとCの見当がつきそうです。
352÷9=39あまり1
この割り算は
9×39+1=352と直すことができるので、
Y=39、C=1ということですね。
整数XはYの一の位にCをつけたものだから、整数Xは391です。
たしかめてみましょうか。
整数X-整数Y=391-39=352! 確かに一の位の1を書かなければ答えが352くるいますね。
(注意)この問題は整数XとYを求めることはできますが、問題文の「ある整数」を求めることはできません。「ある整数」は整数Xより大きければなんでもよいです。
〈つけたし〉
9×Y+C=352
この式のCが1ケタの数ということは、352を9で割った商がYで余りがCということです。たとえば13÷4=3余り1のとき、4×3+1=13 (割る数)×(商)+(余り)=(割られる数)ですよね。このことを使って352を9で割り、YとCを求めました。Cが1ケタの数だから使える考え方です。
***
無事に答えが出ましたが、じつはこの問題、数値によっては意外な落とし穴があります。問題では整数XとYの差を352に設定しましたけど、もし252だと答えが2つになるんですよ。整数問題は深いなあ(*´з`) 話を続けますね。
つけたしコーナーで、Cが1ケタの数だから、352を9で割ったときの商がYで余りがCと書いたでしょう?
もし352が252だと、252÷9=28あまり0になって、
Y=28、C=0 ➡ Xは280
これはこれで正解なのですが、
割られる数が9の倍数のときは、252÷9=27あまり9という式も想定する必要が出てきます。
9で割ってあまりが9というのは普通はありえないことですが、この問題の場合は、
Y=27、C=9 ➡ Xは279
ちゃんとYが2ケタ、Cが1ケタになりますから、この答えも正解なんです。
つまり問題の条件のXとYの差が9の倍数のときは、2つの答えが考えられるということです。
しかし「9で割って余りが9」を想定するのは大変でしょうから、安全運転するなら、9×Y+C=□という式ができたとき、Cに0から9のどれをあてはめたらYが整数になるか?を慎重に考えることですね。□が9の倍数のときだけ、Cは0と9の2つが考えられます。(□が9の倍数以外ならCは1つだけです)
***
ちょっと難しかったですか? そう思った人もあきらめずに何度か読んでみてくださいね。内容がストンと頭に落ちたとき、「オー、この算数わかった~」という充実感をヒシヒシ感じると思いますよ。
ではこれでニューみん算79回目の講座を終わりにしたいと思います。次回が80回目になりますね。なるべく早く書きますから、皆さんまたいらしてくださいね。ではまた~!
カーテンコール
途中にあった式変形の手順は、分配法則と呼ばれ、算数ではとてもよく使われます。
6×3.14+12×3.14=(6+12)×3.14
これと同じ要領で、90×A+9×Bを9×(10×A+B) のように直す変形もしっかりできてほしいところです。