Newみんなの算数講座4 メネラウスより補助線
今回は線分比を求める図形の問題です。中学校の数学で習うメネラウスの定理を使うと機械的に答えを算出することができますが、算数っぽく補助線を引いて解く方法を知ることが図形問題のレベルアップにつながると思います。
では最初に問題を出しますね。
あ、その前にひとつおことわりを。
僕がこのサイトに書く算数記事に共通したことですが、分数は 分子/分母 のように表記します。逆に読まないように気をつけてくださいね。
上の図において、
AD:DB=3:4
BC:CE=5:2のとき、
AF:FC(?のところ)を求めてください。
算数でこの問題を解くとき、ある場所に1本の補助線を引くのですが、じつはその補助線をスッと引ける人が意外と少ないのです。
みなさんはすぐに引けそうですか?
中高生や大学生、オトナの人でもまごまごしてしまう人が多いのではないでしょうか。
では正しい補助線の引き方をお伝えしますね。
正しい補助線は、上の図に点線で示したDEに平行でCを通る線分GCです。
補助線というと、どうしても頂点と頂点をつなぎたくなるのが人情のようで、DEに平行な線という発想は、なかなか思いつかない人が多いようです。
無事にこの補助線が引けますと、気持ちよく比を移動することができて、問題はグッと楽になり、解答が近づいてきてくれます。
GCとDEが平行だから、BG:GDはBC:CEと等しく5:2です。赤い数字の比を緑色の比に移せるわけです。
いまの説明に ン? と思った人は次のポイントを確認してください。
ポイント
下の図でDEとBCが平行なとき、AD:DBとAE:ECは等しい。
では、さらにもうひと組比を移動しますよ?図は再掲しておきます。
上のポイントのように、この問題で求めたいAF:FC(?のところ)はAD:DGと等しいから、
AF:FCを求めるのはAD:DGを求めるのと同じことです。
つまりAD:DGを求めれば、それがこの問題の解答なのです。
ADは青い比で3ですから、DGを青い比で表すことができれば解決ですね。ではDGを青い比で表してみましょう。
BG:GD=5:2だからDGはDBの2/7倍です。DBは青い比の4ですからDG=4×2/7=8/7です。←DGを青い比で表した
したがってAD:DGは3:8/7
これを整数比に直して21:8が正解となります。(比の両側を7倍しました。比は両側に同じ数をかけたり割ったりしてかまいません)
平行に引いた補助線を活かして、問題で与えられた比を移すというのが最大のミソだと思います。逆に言えば、比をうまく移せるような補助線が必要なわけですね。もう一点、それぞれ独立している別の比を関連づけるという部分は慣れが必要かもしれません。この解法はなんとかマスターして使えるようになってほしいです。一度では自信ないという人は、何度か読んで理解するようにしてくださいね。
ところで……
最初にも書きましたが、この問題は中学校で勉強するメネラウスの定理を使うこともできます。一応紹介はしておきますが、理由もわからない公式をむやみに使うのはよくないから、算数を強くなりたい人は参考にとどめてくださいね。
メネラウスの定理
下の図において、イ/ア×エ/ウ×カ/オ=1が成り立ちます。
「飛んで帰って行って行って戻るだけ」なんて覚え方もありますね。メネラウスを推奨する講座ではないので、正しいかどうかは問題の数値をあてはめて調べてみてください。
みなさん、補助線を引いて解く線分比の問題いかがでしたか?
もちろん中学で勉強するメネラウスの定理に欠陥はないけど、僕は補助線を引いて、問題で与えられた比を上手に移して解く方法をお勧めします。
素人が一流シェフのレシピのマネをしても同じ味にならないのは、それ以前に料理のセンスが不足しているからでしょう。それと同じで、まだ図形に自信のない人が公式を使って求めたところで、あまり図形のレベルアップにはつながりませんからね。まぁでも時間に追われた受験生がメネラウスで時間を削るのは仕方ないかもね。基本はあくまで補助線!メネラウスは答えの確認とか緊急手段? そんな感じで今回の講座は終わりにしたいと思います。ではまた次の講座で!
*今回の講座の復習テストが講座106にあります。
カーテンコール
算数でもがんばればメネラウスが成り立つことの説明はできます。もし使うならその説明ができるようになったあとがいいですね。いつか機会があったら書きましょうかね。
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