NEWみんなの算数講座99 トリプルてんびん

NEWみんなの算数講座99 トリプルてんびん

みなさんこんにちは。いよいよ大台の100講座にリーチ!今回99回目になるNEWみんなの算数講座です。

今回は、食塩水の問題で有名な〈てんびん〉に、3つのおもりがぶら下がっちゃうお茶の問題を解説しようと思います。モーメントという特別な言葉もでてきますよ。その言葉は別に覚えなくてもよいですが。
ではさっそく問題に入りましょう。

100g500円のお茶A200gと、100g800円のお茶Bと、100g1600円のお茶C300gを混ぜて100g1000円のブレンド茶を作りたいと思います。100g800円のお茶Bは何g混ぜればよいでしょうか?

ブレンド茶という言葉があるぐらいですから、お茶は何種類か混ぜても問題ないですよね。何種類まで混ぜてよいのか、くわしく調べてませんが、3種類のお茶の葉っぱを混ぜる問題はよくありますよ。

この問題を見たら、すかさずトリプルてんびんを思い出してください。この問題にトリプルてんびんを使わなかったら、いつ使うんだよ、という感じです。
では次のトリプルてんびん図を見てください。

これが初期状態の図です。
記入の仕方ですが、食塩水のときに濃さ(%)を書くところが、この場合は値段になります。何gあたりの値段でも、すべてがそろっていれば問題はなく、僕はその後の計算がラクになることを考えて、すべて1gあたりの値段で記入しました。問題には100gあたりの値段が書かれていましたが、0を2個消して1gあたりの値段に直しました。

おもりの部分。食塩水のときは食塩水の重さ(g)を書きますが、この問題の場合は混ぜるお茶の重さ(g)です。解答になるところを ? にしてあります。

ここから計算段階になりますが、その前にトリプルてんびんの名前の意味ですが、ふつう食塩水の問題ではおもりが左右に1つずつで2つだけでしょう?ところがこのてんびんにはおもりが3つあります。なのでボクはこのてんびんのことをトリプルてんびんと呼んでいます。僕の講座には僕が考えた名前がよく出てきますが、正式な用語かどうかより、わかりやすさが優先だと思うので、この講座だけのネーミングを了解してください。
*普通の食塩水のてんびんについては、3回目の講座がくわしいです。ぜひそちらもお読みください。

さて計算へ。次の図を見てください。

トリプルてんびんでは、支点の両側で、
(支点からおもりまでの距離)×(おもりの重さ)の合計が等しくなります。

いま下線を引いた部分をモーメントといいます。(これは物理の正式用語)
つまり、おもりが3つ(以上)のてんびんでは、支点の両側でモーメントの合計が等しくなるという言い方もできます。

支点の左側には2つのおもりがあります。
赤い線で示した部分のモーメントは (10-5)×200=1000
緑の線で示した部分のモーメントは、まだ計算できないので置いておきます。

支点の右側はおもりが1つだからモーメントも1つです。
青い線で示した部分のモーメントは (16-10)×300=1800

支点の両側でモーメントは等しくなるから、緑の線で示したモーメントは
1800-1000=800と逆算できます。

緑の線の支点からおもりまでの距離は10-8=2だから、
800÷2=400より、求める解答(お茶Bを混ぜる重さ)は400gとなります。

とても素早く解けますよね。トリプルてんびん、ここで使わなきゃいつ使う?というボクの前ふりもわかってもらえたと思います。今回はお茶の問題で使いましたが、もちろんこのトリプルのてんびんは、3種類以上の食塩水を混ぜる問題にも使えますよ。みなさんの前に使える機会がやってきたら、ぜひ使ってみてください。

すごく早く解決してしまったから、トリプルてんびんを使わないで解く方法も解説しておきましょう。
お茶Bを□g混ぜるとすると、お茶の値段について次のような式を作ることができます。
5円×200g+8円×□g+16円×300g=10円×(200+□+300)g

計算できるところを計算して式を整理すると、*以下単位省略
1000+8×□+4800=10×(□+500)
8×□+5800=10×(□+500)
分配法則をつかって右辺のカッコをはずすと、
8×□+5800=10×□+10×500
8×□+5800=10×□+5000
両辺で□の部分と数だけの部分の差を取る算数流の等式処理により、
2×□=800
□=800÷2=400g
*この算数流の等式処理については、最近、88回目の講座に書きました。ご参考ください。

このように式を作って押していっても同じ解答が出てきます。これがわかりやすいという人はこれでもかまわないですが、普通すぎますし、やはり算数のワザ~という感じがするのはトリプルてんびんでしょうね。

***
今回の講座どうでしたか?
てんびんと言えば、おもりは左右に1つずつと思い込んでいませんでしたか?
てんびんのおもりは何個あっても大丈夫です。覚えておいてくださいね。

しかしドキドキしてきました。長い間書き続けた「NEWみんなの算数講座」
ついに次回が記念すべき100回目です。何を書くかはもう決めてありますが、他では絶対に読めない内容です。他で書いてあるのを一度も見たことないですから。みなさん、楽しみに待っていてくださいね。
では次回の100回目の記念講座でまたお目にかかりましょう。それでは~。

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