NEWみんなの算数講座105 時計算の二歩目
みなさんこんにちは。NEWみんなの算数講座105回目です。
103回目の背番号問題の解説は、話が長引きそうなので、この講座とは別に臨時号として投稿します。この講座には書きませんのでご了承ください。
今回は久しぶりに時計算を解説しようと思います。64回目の「時計算の初歩」以来ですね。タイトルはその続きという意味で「時計算の二歩目」にしました。やや応用的な内容です。時計算を基本から~という人は、先に64回をお読みになってください。また、43回でも時計算にふれたことがあります。そのときはシャドー針というマニアックな解法の紹介でした。シャドー針は、その発想をすることが易しくないので、今回は持ち出さずに解説することにします。
では1問目です。長針と短針が左右対称になる時刻を求めます。
図のように、4時と5時の間で、長針と短針が左右対称になるのは4時何分ですか?
初歩のときにも書きましたが、こうした時計算の問題は、与えられた始まりの時刻(この場合は4時)に戻した状態を書き入れてみることが大切です。そのことによってだいぶ様子が見えてくるのです。
4時を書き入れてみました。
あとはこの図の中で、長針と短針が動いた角度を調べ、式が作れる状態に持ち込むことを考えましょう。
図の中に、長針が動いた角度と短針が動いた角度を示しました。もちろん「4時から、求める時刻になるまでに動いた角度」です。
この状態では、まだ式を作ることができませんが、何か気づきませんか?
気づいた人もいると思います。短針が動いた角度を「右から左に移す」ことができますね。下の図のようになります。
この移動によって、長針と短針の動いた角度が、合計でちょうど文字盤の8マス分になっています。文字盤1マスは30°なので、8マスだと240°です。
ということで、「長針と短針が合計で240°動くのにかかる時間」←これを求めれば、この問題の解答になります。
長針は1分間に6°、短針は1分間に0.5°でした。合計すると6.5°で、長針と短針は1分間に合わせて6.5°進みます。それが何分たてば240°になるか?
割り算で求めることができますね。
240÷6.5=240/6.5
分母と分子を2倍して480/13分、帯分数に直して36と12/13分。
求める解答は4時36と12/13分です。
ではもう一問いきましょう。時間の経過で長針と短針が入れ替わるという有名な問題ですが、(2)がややこしいと思います。
千代さんが、買い物に行く前に時計を見たら、午前11時を少し過ぎていました。買い物を終えて帰宅すると、時刻は午後2時前で、長針と短針が出かけるときとちょうど入れ替わっていました。
(1)千代さんが買い物をしていた時間は何時間何分ですか?
(2)千代さんが買い物から帰ってきた時刻は、午後1時何分ですか?
(1)は1問目の問題と似ています。家を出た時刻から、帰ってきた時刻まで、長針と短針がどのように動いたかを考えます。
短針は見たままで、左の図の位置から右の図の位置までが動いた角度です。
長針は、正午に「12」の位置に戻り、午後1時に再び「12」の位置に戻り、その後、右の図の位置まで動いています。つまり長針は、文字盤の3周に「左右の図の両針のへだたり」だけ足りない角度を動いたということです。図にしてみましょう。
この図を作るのは正直苦戦しました(汗)なんとか読み取ってもらえることを期待します。
長針が3周弱回っていて、それに短針が回った角度をたすと、ちょうど文字盤の3周分になります。1周360°だから3周は1080°です。長針と短針が動く角度の合計は1分で6+0.5=6.5°だから、あわせて1080°動くのにかかる時間は、
1080÷6.5=1080/6.5=2160/13=166と2/13分=2時間46と2/13分です。これが千代さんが買い物に出かけていた時間です。
(2)がややこしいです。しっかり読んでください。
左の図から右の図までに両方の針が動いた角度の合計は1080°でした。この1080°を長針が動いた角度と、短針が動いた角度に分けてみます。
長針と短針が同じ時間で動く角度の比は、1分あたりに動く角度の比を使って、6:0.5=12:1です。
つまり、1080°のうち、長針が動いた分が12/13、短針が動いた分が1/13です。1080°のうち、短針が動いた角度は1080/13°です。この1080/13°が問題の図の両方の針のへだたりです。
[くわしく]
短針は、左の図のピンクの位置から、右の図のピンクの位置まで動きました。右の図のピンクの位置は、左の図のブルーの位置なので、短針が動いた角度は、図の両方の針のへだたりです。
右の図を見てください。このとき両方の針のへだたりは1080/13°ですが、まもなく午後2時です。午後2時には両方の針のへだたりは60°になります。
*2時を思い浮かべてみてください。2時は60°ですよね?
・右の図の時点 ➡ 両方の針のへだたりは1080/13°
・午後2時になると ➡ 両方の針のへだたりは60°
1080/13°差が60°差になるまで長針が短針を追いかけていくと、長針は短針より1分あたり6-0.5=5.5°多く進むから、1080/13°差が60°差になるまでにかかる時間は、
(1080/13-60)÷(6-0.5)=(1080/13-780/13)÷5.5
=300/13÷11/2=300/13×2/11=600/143分=4と28/143分です。
右の図の時刻は、午後2時になる4と28/143分前というわけですね。千代さんが買い物から戻ってきた時刻は、2時-4と28/143分=午後1時55と115/143分です。
以上で解決しました。6+0.5=6.5°が出てきたり、6-0.5=5.5°が出てきたり、やさしい問題ではないですね。一度で自信がない人は、何度か読み直してくださいね。きっと理解してもらえると思います。しかしそれにしても時計算はすごい答えになりますね。算数の文章題で分母が143なんて答えが出てくるのは時計算ぐらいです。でもそれが時計算の個性なんですよね。
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今回も読んでもらってありがとうございました。次は103回目の背番号問題の解答をはさみまして、106回目から何回かにわたり、1回目の講座に戻って復習テスト編を作る予定です。この講座の初期は、読者のみなさんに宿題を出して、コメントらんで解答を受けていたのですが、その後コメントらんを閉じた経緯があり、初期の講座の説明を直すために企画しました。どういう形の復習テスト編になるか、楽しみに待っていてくださいね。それでは今回はここまでにします。
余談 このサイトはwordpressという圧倒的ユーザー数のweb製作ソフトで作ってます。とても優れモノですが、デフォルトのコメントらんを置くと、スパムなどの自動コメントが大量です。ここにも日に数十個毎日でした(汗) wordpressのアキレス腱でしょうかね。そのため、現在はコメントらんを閉じて、外部フォームを使っています。
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