Newみんなの算数講座43 シャドー針って何?

Newみんなの算数講座43 シャドー針って何?

みなさんお元気でしたか? ニューみん算43番目です。

今回は有名な算数の先生(残念ながら僕ではない 苦笑)が発案した時計算の名解法シャドー針を紹介しましょう。僕が初めてこの解法を知ったときの感想は「よく思いつくよな~ サスガだな~」でした。こうした解法をみると算数は芸術だな~と改めて思いますね。みなさんにも感動してもらえるかな?

そういえば時計算を取り上げるのは初めてですね。問題の前に時計算について少し説明しておきます。時計算にはkm、mといった距離の単位こそ現れませんが、距離の単位が角度(°)になるだけで、基本的にはふつうの速さの問題と同じです。長針クンと短針クンが池のまわりを回っていると考えてください。ただ、答えが整数で割りきれることが少ないですね。分母が11とか13の分数が当たり前に出てきます。そこが時計算ぎらいを増やしてしまう理由かもしれませんが、時計算が面倒なのは計算だけです。考え方はそんなに難しくないですよ。

では今回の問題を出しますね。

いま時計が4時を指しています。文字盤の「3」の位置が、長針と短針のちょうど真ん中になるのは4時何分ですか?

この問題を解くときにシャドー針という考え方が使えるんです。シャドーというのは影という意味ですが、太陽が当たってできる影ではなくて、影武者という意味だろうと思います。大きな役割を果たす裏方さん的な意味ですね。この解法のご発案者は「中学への算数」という算数専門誌の中心ライター栗田先生です。ここでは栗田先生に代わりまして僕が解説を書かせていただきます。緊張するなぁ(^^)

下の図は4時ちょうどの時計のようすです。ここから何分か経過したとき、水色で示した「3」のラインが長針と短針のちょうどまん中にくるということですね。

ここからシャドー針の出番です。
下の図を見てください。赤い針がありますね? それがシャドー針です。このシャドー針はつねに長針と短針の真ん中を動く架空の針です。長針、短針が動くのとといっしょに、そのちょうど真ん中を動いている針をイメージしてください。
そして求める時刻は、このシャドー針が「3」のラインと重なるときだと考えるわけです!
時計の〈長針の速さは分速6° 短針は分速0.5°〉だから、つねにその真ん中を動くシャドー針の速さは長針と短針を平均した速さになります。シャドー針の速さは(6+0.5)÷2=分速3.25°です。

4時ちょうどの時点でシャドー針と「3」ラインの角度は30°です。理由は簡単ですね。シャドー針は12時と4時の真ん中の2時の方向を指してます。時計の数字と数字の間は360÷12=30°です。
シャドー針は分速3.25°だから、シャドー針が「3」ラインに重なるまでの時間は、
30°÷3.25°=30÷13/4=120/13=9と3/13(分)
これは4時から経過した時間だから、求める時刻は4時9と3/13分です。


栗田先生のシャドー針、いかがでしょうか。一見面倒そうな問題がごく短い解説で終わってしまいました。シャドー針を使わずに他の方法で解くこともできますが、こんな簡単には終わりませんね。(長針の速さ):(短針の速さ)=12:1を使ったり、等しい角度を移したりもう少し手間がかかります。シャドー針を使うとすごく速く解けるんですよ。すごいな~ 便利そうだな~ と思った人は使えそうなときに試してみてくださいね。

では今回の講座はこれで終わります。シャドー針で解ける問題を宿題にしておきますね。ヒントもつけましたからぜひ考えてみてください。そのうちもっと基本的な時計算も取り上げないとね。講座のプランにメモしておこう。ではまた次回の講座で元気にお会いしましょう!

スペシャルサンクス!  中学への算数 東京出版のホームページはこちら

みなさんへの宿題
3時と4時の間で、短針が文字盤「12」の方向と長針のちょうど真ん中を指す時刻は3時何分ですか?
〈ヒント〉長針の半分のスピードで動くシャドー針を考えます。

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。