Newみんなの算数講座65 切り口のレジュメ(前編)

Newみんなの算数講座65 切り口のレジュメ(前編)

こんにちは。ニューみん算講座65です。

今回と次回の2講座連続で立方体の切り口(切断面)をテーマに取り上げたいと思います。もっと早く書いてもよかった立体図形の重要項目ですが、他の内容に押されてようやくここでの登場になりました。

ではまず次の基本図からご覧ください。何の変哲もないごく普通の立方体です。

立体図形の問題で、立方体の辺上に3点を与え、その3点をすべて含む面で切断した切り口を考えることがあります。なぜ、与える点が3点かというと、平面は3点によって決定するという平面の決定条件があるからです。2点を含む平面は無数に存在して一つに決まりませんし、4点以上になるとすべての点を含む平面の存在が怪しくなります。存在することもありますが、必ず存在する保証がないです。だから3点なんですね。3点を与えることで、平面は一つに決定します

メモ 3点にも例外があり、同じ直線上にある3点の場合は決定しません。正確には「同じ直線上にない3点」ということになりますね。

では、問題を4つ出します。どの問題もカラー表示で3点を与えていますので、その3点を含む平面で立方体を切断したときの切り口の形を考えてください。イメージするだけでもよいですが、できればこのページを印刷するか、別の紙に写して作図してみてほしいです。

下の図1~図4について、与えられた3点をすべて含む平面で切断したとき、切り口はどのような図形になりますか? もっともふさわしい図形の名前を答えてください。カラー表示の赤い点は立方体の頂点、青い点は立方体の各辺の中点です。


解説の前に次のポイント、立方体切断のレジュメと反則をアタマに入れてください。

立方体切断のレジュメと反則

レジュメ1
立方体の同じ面上にある2点は直接つなぐことができます
*同じ面上というのは立方体の6つのどの面上でもかまいません

反則!
立方体の同じ面上にない2点を直接つなぐことはできません

レジュメ2
平行に向き合っている面では切り口の辺も平行に向き合います
*平行な面に切り口の辺が存在するなら…です

レジュメ3
切り口の名前は、文科省の検定教科書に出てくるもっともふさわしい図形の名前を答えます
*平行四辺形を四角形、二等辺三角形を三角形などは不正解です

図1解説
もっとも基本的な問題です。BとD、BとG、DとGは、すべて同じ面上にある2点です。レジュメ1より、それぞれストレートに直線でつなぐことができ、切り口は下の図のような正三角形です。レジュメ3にも書きましたが、三角形などと答えると不正解になります。BD=BG=DGの特長を捉え、正三角形と答えてください。

図2解説
BとD、DとHはダイレクトにつなげますが、BとHをダイレクトにつなぐことはできません。反則に書いたように、BとHは同じ面上にある2点ではないからです。
このような場合はレジュメ2の出番です。立方体の上の面ABCDと下の面EFGHは平行に向き合っているから、平行な面では切り口も平行になり、Hを通るBDの平行線が切り口の一辺になります。その平行線はFHとなり、BとFは同じ面上にあるからつなげます。切り口は下の図のような長方形になります。

図3解説
PとQ、PとFはダイレクトにつなげますが、QとFをダイレクトにつなぐことはできません。QとFは同じ面上にある2点ではないからです。
Fを通るPQの平行線を引いてください。その平行線はFHとなり、QとHは同じ面上にあるからつなげます。切り口は下の図のような台形になります。
*等脚台形とも呼ばれる左右対称の台形です、ただし等脚台形という名前は検定教科書には出てないので台形の方がよいです。等脚台形を正解にするかどうかは採点者次第でしょう。

図4解説
AとS、SとGはダイレクトにつなげますが、AとGをダイレクトにつなぐことはできません。
Gを通るASの平行線を引いてください。その平行線はTGとなり、TとAは同じ面上にあるからつなげます。切り口は下の図のようなひし形になります。
*この切り口を正方形と答える間違いが正解以上に多いです。切り口の四角形ASGTはすべての辺の長さが等しい四角形ですが、対角線AGとSTの長さが異なります(AG>ST)。正方形は間違いでひし形が正解です。


3点が与えられた立方体の切り口問題、どうでしたか? ここまではそんなに難しくないと思います。しかしですね~、知っている人もいるかもしれませんが、レジュメ1と2だけでは切り口の作図ができない3点の与え方もあるんですね。その場合は面を広げたり、辺を延ばしたりする新しいレジュメが必要になりますよ。それについては次回の後編で扱いたいと思います。なるべく早くアップしますから、また続きを読みにきてくださいね。
では切り口の前編は一度ここでおしまいにします。それじゃあまた~!

後編に続くため、みなさんへの宿題はありません。質問や感想などあればどしどしコメントくださいね(*^^)