Newみんなの算数講座55 連続数による和分解
こんにちは~。ニューみん算講座55の時間です。
今回は、連続数による和分解というちょっと変わった整数問題についてお話をしようと思います。この内容が直接テストに出されることは少ないと思いますが、読んでもらうことで整数についての知識が増え、その知識を他の問題で活かせることがあると思います。いつもより難しいかもしれませんが、一生懸命書きますから頑張って解読してくださいね。ではさっそく問題を出して始めましょう。見たことない問題じゃないかな?
(1)整数6を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
(2)整数7を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
この2問は難しくないですね。すぐにわかった人が多いでしょう。
(1)の答えは1+2+3です。3つの連続した整数の和で6になります。答えはこの1通りしかありません。
(2)の答えは3+4です。2つの連続した整数の和で7になります。これも答えはこの1通りしかありません。
では次。整数を取りかえただけで同じ問題です。
(3)整数18を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
(4)整数16を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
(3)は2通りできるんです、3つの連続した整数の和5+6+7と、4つの連続した整数の和3+4+5+6ですね。
(4)は意外な答えです。残念ながら16は連続した整数の和に分解することができません。16は0通り。
なんか不思議でしょう? できたりできなかったり、できるときも1通りだったり2通りだったり…。算数は数学のように一般化(公式化)することには必ずしもこだわらないのですが、やはり法則を知りたくなるのが人情でしょうね。法則は最後に説明しますから、もう少し具体的な問題を考えてみてください。1問ずついきますね。もし途中で法則がわかった人はすごく優秀ですよ!
(5)整数39を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
(5)は3通りの分解ができます。
2つの連続した整数の和19+20、3つの連続した整数の和12+13+14、6つの連続した整数の和4+5+6+7+8+9です。
次に進めましょう。
(6)整数72を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
72は2ケタの整数では約数を一番多く持つ整数ですが、この問題では意外に少なくて2通りだけ。3つの連続した整数の和23+24+25と、9つの連続した整数の和4+5+6+7+8+9+10+11+12です。
早く法則を説明して~という声が聞こえてきそうですがもう1問だけ。
(7)整数63を2つ以上の連続した整数の和に分解する方法は何通りありますか?(式も示してください)
63はこれまでのなかで一番多くて5通りあります。具体的に書くと
31+32(2つの連続した整数の和)
20+21+22(3つの連続した整数の和)
8+9+10+11+12+13(6つの連続した整数の和)
6+7+8+9+10+11+12(7つの連続した整数の和)
3+4+5+6+7+8+9+10+11(9つの連続した整数の和)です。
いろいろな数を例にしましたが、何かひらめいたことがありましたか?
ではだいぶ引っ張った法則をここでお伝えしましょう。じつは連続した整数の和に分解できるパターンの数は、その整数の1以外の奇数の約数の個数と同じなのです。
さきほど上で示した□通りを(4)まで確認してみましょう。
(1)6の約数1、2、3、6のうち、1以外の奇数は3だけ。→1通り
(2)7の約数は1と7。1以外の奇数は7。→1通り
(3)18の約数1、2、3、6、9、18のうち、1以外の奇数は3と9。→2通り
(4)16が分解できなかった理由は、16に1を除いた奇数の約数がないからです。
その他の例についても同じ考え方です。調べてみてください。
ではこの理由を考えてみましょう。整数30を例にしましょうか。
30の約数は1、2、3、5、6、10、15、30で、このうち1以外の奇数は3、5、15の3つです。上に書いた法則から30の分解方法は3通りになりますね。この3通りは次のア、イ、ウのように求めることができます。30をそれぞれの約数個に等分し、連続数ができるようにセンターの両側を調整します。
ア…3等分する場合
30を3等分すると10+10+10です。
センターの10はそのままにして、左の10を「-1」、右の10を「+1」すると、
9+10+11のように連続する整数の和に分解できます。
イ…5等分する場合
30を5等分すると6+6+6+6+6です。
センターの6はそのままにして、センター左の6を「-2」「-1」、センター右の6を「+1」「+2」すると、4+5+6+7+8のように連続する整数の和に分解できます。
ウ…15等分する場合
30を2+2+2+……+2……+2+2+2のように15等分します。(2が15個)
センターの2はそのままにして、左から
-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、センター、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7のように操作します。
(2-7)+(2-6)+(2-5)+(2-4)+(2-3)+(2-2)+(2-1)+2+(2+1)+(2+2)+(2+3)+(2+4)+(2+5)+(2+6)+(2+7)
この式は同じ色をつけた部分の計算が0になって消え、(2-2)も0だから、最後の4項が残って6+7+8+9のように連続する整数の和に分解できます。
くわしく 算数にはマイナスの数がないから、2-7を-5とはできないので、2+3と2-7を合わせて2+3+2-7=0のように消しました。マイナスの数を使って書くなら上の式は
(-5-4-3-2-1+0+1+2+3+4+5)+6+7+8+9となります。( )内が0になって消えますね。
まとめましょう。
ある整数を連続した整数の和に分解できるのは、ある整数を奇数個に分けたときだけです。奇数個に分けるとセンターが存在しますよね? そのセンターを中心に左右に
〈……、-3、-2、-1、センター、+1、+2、+3、……〉といった調整をすることで連続する整数の和に分解できるわけです。ある整数を偶数個に分けてしまうとセンターがないため、奇数個のときのような調整~分解ができません。
このような理由で、ある整数の持つ1以外の奇数の約数の個数と同じだけ、連続する整数の和に分解するパターンがあることがわかります。なお、奇数でも1を除外する理由ですが、これは整数が1個では連続にならないからです。たとえば6を6のまま、1個の連続した整数に分解したとは言わないでしょう? 連続というのは最低2個以上ですよね。
連続数による和分解を理解してもらえたでしょうか? あまり取り上げられることがない内容ですが、整数は算数世界に不可欠な役者ですから、こうした出演作も知っておくことで、整数ひいては算数との距離を縮めてもらえるのではないかと思って書きました。整数のジャンルはとても深く、他にもいろいろな話がありますよ。教うるは学びの半ば! 講座を書くことで僕は教えると同時に自分も学べています。乗りかけた舟!まだまだ書き続けますからね。これからもニューみん算講座の応援をよろしくお願いします。
次回56講座では立体を切断しようと思います。楽しみに待っていてくださいね。それじゃあまた~!
カーテンコール
mから始まる連続したn個の整数の和を求める (2m+n-1)×n×1/2 という公式があります。算数の範囲でもこの公式の説明は可能です。次のような等差数列の和ですね。
m、m+1、m+2、m+3、………、m+(n-1)
*最後はm+nではありません。最後をm+(n-1)にすると全部でn個になります。具体的な数でお調べください。
等差数列の和は (初めの数+終わりの数)×個数×1/2 だから、この数列の和は
{ m+m+(n-1) }×n×1/2= (2m+n-1)×n×1/2 です。
さきほどの30の分解では、この式を
(2m+n-1)×n×1/2=30 → (2m+n-1)×n=60
のように使うとnが60の約数とわかり、答えを知る手がかりになるでしょう。数学の文字式は算数の範囲ではないので深入りはしませんが、興味があるみなさんは続きを考えてみてください。30を連続する整数の和に分割する(m,n)の組は、ア(9,3)イ(4,5)ウ(6,4)です。
みなさんへの宿題
整数81を連続する整数の和で表す方法は何通りありますか? ○~□までのように連続する整数の初めと終わりの数も示してください。
解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。