Newみんなの算数講座51 ザ・N進法(後編)
さっそく始めましょう。前回に続くN進法の後編です。つなげてしまえば特に順番は関係しない内容ですが、一応話の流れがありますから、前編をまだ読んでいない人は前編を読んでからこちらに戻るとよいでしょう。
前回の前編では、N進法の意味、そしてN進法の数を10進法の数に変換する方法について解説しました。今回は前回と反対で、10進法の数をN進法の数に変換する方法について解説しようと思います。
N進法の意味(再掲)
N進法とは0から(N-1)までのN個の数字を使って数を表す方法のこと。
N進法で使える数字について(再掲)
N進法で使える数字はNまでではなく、ひとつ手前のN-1までです。
このことは10進法で使える数字が9まで(=10-1)であることからわかると思います。2進法で使える数字は1まで(=2-1)、3進法で使える数字は2まで(=3-1)、5進法で使える数字は4まで(=5-1)、8進法で使える数字は7まで(=8-1)などです。12進法で使える数字は11まで(=12-1)ですが、各位に収める数字はひとけたにする必要があるから、12進法の10と11は英字のA、Bを代用します。
では今回のテーマ、10進法の数をN進法の数に変換する問題を出しましょう。
10進法の数をN進法の数に変換する問題です。
(1)10進法の87を2進法の数に直してください。
(2)10進法の629を3進法の数に直してください。
(3)10進法の2019を9進法の数に直してください。
(4)10進法の2026を12進法の数に直してください。
10進法の数をN進法の数に直すときは、わり算の筆算記号を逆にしたような記号を書き、Nでわったときの商と余りを求めていきます。
2進法に直す→2でわっていく 3進法に直す→3でわっていく
4進法に直す→4でわっていく 5進法に直す→5でわっていく ……
という感じですね。
余りがないとき(割りきれるとき)も余り0と書いてください。商が直したいN進法で使える数字になったら求めた商と余りを下から順に並べて終了です。
メモ
この方法に特に名前はついてないと思います。僕の生徒はひとつすだれと言ってましたが(笑) 二つ以上の数を並べて最大公約数や最小公倍数を求めるすだれ式の筆算と似てるからだと思います(^^)/
では設問を一つずつやっていきましょう。
(1)
87を2で割った商と余りを書いていきます。商が2進法で使える1になったときに終了です。水色の数字を下から並べてください。10進法の87を2進法で表すと1010111となります。
2)87
2)43…1
2)21…1
2)10…1
2) 5…0
2) 2…1
1…0
(2)
629を3で割った商と余りを書いていきます。商が3進法で使える数(この場合は2)になったときに終了です。水色の数字を下から並べてください。10進法の629を3進法で表すと212022となります。
3)629
3)209…2
3) 69…2
3) 23…0
3) 7…2
2…1
(3)
2019を9で割った商と余りを書いていきます。商が9進法で使える数(この場合は2)になったときに終了です。10進法の2019を9進法で表すと2683となります。
9)2019
9) 224…3
9) 24…8
2…6
(4)
2026を12で割った商と余りを書いていきます。商が12進法で使える数(この場合は1)になったときに終了です。あまりの10は位に収める数字として不適切だからAに置きかえます。10進法の2026を12進法で表すと120Aとなります。
12)2026
12) 168…10→A
12) 14…0
1…2
だいたいの生徒の意見ですが、前回のN進法から10進法より、今回の10進法からN進法のほうが簡単みたいですね。前回のN進法から10進法も、今回のひとつすだれで逆算することはできますよ? でもすだれを上から下に下げることに比べて、下から上に上げるのは間違いやすいです。だから僕は前回のN進法から10進法ですだれを使うのはおススメしてません。
2回にわたるN進法の講座、いかがでしたでしょうか? 数はふだん使う10進法が当たり前になっているでしょうから、使える数字が制限されたり追加されるとしっくりいかずに戸惑ってしまうかもしれませんね。
しかしよく考えてみると、10を束にする10進法というルールはわれわれがそれに慣れてしまっただけで、もちろん今となっては社会全体がすべてそのルールで動いてますから変更は相当無理でしょうが、ルールを決めたときに戻れば、絶対に10進法でなくてはならなかったとも思えません。初めに8進法と決まっていたらそれはそれでよかった気がします。8だと微妙に少ないですか? じゃあ12進法に決まっていたらどうだったかな? 10のほうがキリがよい? そのキリがよいという感覚も数字を10個使う10進法に慣れてしまったから感じることなんですよね。初めに数字12個の12進法に決めていれば12がキリがよかったはずです(^^) 一説によると人間の指が10本だからというのが理由の一つらしいですが、それが真実かどうかは調べたことがないのでわかりません。でもそうやって当たり前とされていることに疑問を持ち、平凡な考え方から脱皮しようという意味で、算数のN進法はとても良い題材なのではないかと思いますね。
N進法はこうした計算だけにはとどまらないですよ? この講座でも機会があったらN進法を使って解く文章題を取り上げてみたいと思います。いろいろ書きたい内容がたまっているので、いつの講座になるかは未定ですが必ずどこかで書きますね。自分けっこう好きなんですよN進法(*^^)
それではみなさん、また次の講座52でいっしょに算数を勉強しましょう。それまで元気でね!
みなさんへの宿題
左側の数は10進法で表された数です。〔 〕内のN進法の数に直してください。ただし、12進数では0から9に続く数字としてAとBを使うことにします。
(1) 314〔2進法〕
(2) 794〔6進法〕
(3) 3142〔12進法〕
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