Newみんなの算数講座73 〈等差数列〉法則の式を発見する!
申し訳ありません。前回の講座72を書いてから、すごく時間があいてしまいました。生徒指導が忙しかったのもあるんですが、某大手出版社から本の執筆依頼が舞い込んでしまい、それと両立するのが難しくて、しばらくこちらの更新をお休みしていました。ようやく時間に余裕も出てきたので、またこちらの更新にも力を入れていきたいと思います。毎日は厳しそうだけど週に2本か3本は更新できるように頑張りますね。
新刊の発売は2021年4月です。もう少したちましたら、トップページなどで詳しくお伝えさせていただきます。
久々なのでこの講座の進行を復習しておきます。
元祖のホームページに旧算数講座が全部で102講座あり、だいぶ昔書いた講座も多かったから、こちらのサイトに書き直したり、ムダを省いたり、ところどころ新作も加えながらお引越しさせていました。そのお引越し作業が72講座まで終わったところで私がお休みに入ったんですね。だからお引越し完了まであと30講座です。そのあとはすべてこちらのサイトでの新作になりますね。私はまだこれからも皆さんのためになる算数を書き続けていくつもりですから、ご愛読応援をよろしくお願いしますね。
ではほんと久々のニューみん算講座。今回の73講座では、習ったとおりの当たり前の方法で解くだけが算数ではないという話をしていきたいと思います。
さっそく問題を出しちゃいましょうかね。
6 13 20 27 34 41 48 ………
(1)上の等差数列の100番目の数はいくつですか?
(2)1070は何番目の数ですか?
(3)最初の6から1070までの総和はいくつですか?
最初の数(初項ともいいます)が6で、そのあとは7ずつ(公差といいます)増えていく等差数列です。
(1)
100番目の数を求めるには、植木算(間の数は木の数より1少ない)として考えるひとが多いだろうと思います。
それぞれの数は7ずつ離(はな)れているから、初項の6に7を99回たせば、100番目の数を求めることができます。
※100個の数が並ぶとき、数と数の間隔は99ヶ所です。
したがって100番目の数は、
6+7×(100-1)=6+7×99=6+693=699です。
この方法もとても良い方法で、参考書などには次のような公式が載(の)っているでしょう。
等差数列の□番目の数=最初の数+公差×(□-1)
(2)
いまの公式を使って逆算しましょう。求めたい解答を□番目とします。
6+7×(□-1)=1070
7×(□-1)=1070-6=1064
□-1=1064÷7=152
□=152+1=153 →1070は153番目の数
(3)
等差数列の和は求めるときは次の公式を使います。
等差数列の和=(最初の数+終わりの数)×個数÷2
最初の数が6、終わりの数が1070で個数が153個だから、
(6+1070)×153÷2=82314
これが(3)の解答です。
以上で解答を求めることができました。塾などではこれで メデタシメデタシ となるようですが、ここで終わったらこの講座の意味がないですね。
ボクは等差数列を教えるとき、生徒たちに次のことを必ず付けたします。
等差数列のそれぞれの数に番号をつけると、その番号とそれぞれの数の間に、必ず〈変わらない関係〉が成り立っている!
ここで先ほどの等差数列をもう一度使い、それぞれの数に番号をつけてみます。
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
6 13 20 27 34 41 48 ………
番号と、それに対応する数を比べてみると、どこでも必ず「番号を7倍して1を引くとその数」という〈変わらない関係〉が成り立っていませんか?
①×7-1=6
②×7-1=13
③×7-1=20
3つ調べて全部OKですから、これは偶然ではないですよね。どうやら「番号×7-1=それぞれの数」という関係に間違いはなさそうです。
ではこの方法を使って、もう一度(1)と(2)を解答します。
(1)100×7-1=699 →100番目の数は699
(2)□×7-1=1070
この式の□を逆算して、□=(1070+1)÷7=153
→1070は153番目の数
どうですか?最初のやり方より、こっちのやり方のほうがスピーディーでしょう?「7倍して1を引く」という式は、もちろん上の問題の場合ですが、どんな等差数列においても必ず同じような式が作れます。7倍の7は公差の7、引いた1は公差と初めの数の差です。他の問題でも同じようにマネして〈変わらない関係〉を見破ってくださいね。
ごく普通のよくある解き方だけを続けて、他の解き方を考えないのは、マジメすぎてつまらない算数です。塾では教えてくれないし、本にも出てないけど、こっちの方が速くて便利という話は他にもまだたくさんありますよ?
この講座では、今までもそういう話をたくさん書いてきたし、これからもどんどん続けていきたいと思います。いろいろ読んでみてくださいね!
あ、最後になりましたが、等差数列の和を求める公式の理由は、次のように逆に並べた数列とセットで考えると納得できるでしょう。
1 4 7 10 13 16 19 22 ←この等差数列の和は(1+22)×8÷2
22 19 16 13 10 7 4 1
上下の2段をたすとすべて(最初の数+終わりの数)になっていて、個数をかけると上下2段の合計になるから、最後に2で割って1段だけの合計を求めているということですね。
では今回の73講座はこれで終わりにしますね。みなさんへの宿題は、後日いくつかの講座をまとめて出題しようと思います。