Newみんなの算数講座60 美しき平行四辺形のグラフ

Newみんなの算数講座60 美しき平行四辺形のグラフ

こんにちは。ニューみんなの算数講座は今回がキリよく60講座目です。記念回というほどでもないですが、速さのジャンルからみなさんの印象に残りそうな問題を用意しました。わりと手ごわい問題で、初めて解いて正解するのはけっこう大変だと思います。僕も若い時分、初見のときには解けなかったです。ぜひ一度経験しておいてほしいと思います。

ではその問題を出しますよ?

A地点に一人のおじさんと子供が6人がいます。この7人がA地点から24km離れたB地点に向かうのですが、車は1台しかなく全員が乗ることはできません。
そこでおじさんは車に3人だけ乗せてB地点に向かい、残り3人は車と同じ道を歩いてB地点に向かわせました。おじさんは途中のC地点で3人の子供を下ろして歩いてB地点に向かわせ、そのままC地点から引き返すとA地点から歩いてきた3人をD地点で車に乗せて再びB地点に向かいました。この結果、全員が同時にB地点に着きました。
車の速さは時速36km、歩く速さは時速4kmで、車の乗り降りにかかる時間は考えません。
(1)C地点からD地点までの距離は何kmですか?
(2)A地点を出発後、B地点に到着するまでにかかった時間は何時間ですか?

問題文長いですよね。読むだけで疲れちゃいました?(笑) がんばってもう一度問題の意味を確認しましょうか。
全員が車に乗れないから、A地点出発と同時にグループはふたてに分かれ、片方のグループは車で、もう片方のグループは徒歩でB地点に向かいます。当然車の方が速いから、おじさんは途中で3人を下ろして徒歩組を迎えにいきます。そして徒歩組を見つけて車に乗せると再度B地点に向かった。その結果2つのグループが同時にB地点に着いたということです。設定が非現実的すぎるって? ははは。そうですね。まあそこは算数の問題ですから(^^)/

状況を図示する直線図を作ってみました。実線が車で点線が徒歩です。色分けは同じ色のところが同じ時間を示しています。しかしこの問題はこうした直線図だけでは手がかりがつかみにくいのです。せっかく作りましたけど、この図を使うのはやめましょう。


では正しい図の書き方をお伝えしますね。じつはこの問題、横軸を時間、タテ軸を距離にしたグラフを書くと、その状況がとても美しい平行四辺形のグラフになります。改めて作り直しました。下のようなグラフです。

ボツにした最初の図と同じように、車の進行を実線、歩く子供を点線にしました。時間の流れを色で区別しています。
 車がC地点で子供を降ろすまで
 引き返した車がD地点で子供を拾うまで
 B地点に到着するまで
です。

なぜこのような平行四辺形のグラフになるかといえば、全員が同時にB地点に着いたということは「2つの子供たちのグループが車に乗っていた時間と歩いていた時間が同じだから」です
もし車に乗っていた時間と歩いた時間が違えば、2つのグループが同時にB地点に着くことはありません。車に乗っていた時間が長いグループが先にB地点に着くはずですね。2つのグループが同じ時間だけ車に乗って、同じ時間だけ歩いたから上のような美しい平行四辺形のグラフになるわけです。

ではいよいよ解答を求めましょう。
徒歩の速さ:車の速さ=4km/時:36km/時=1:9です。
進むのに経過した時間が等しいとき、進んだ距離は速さの比が示すから、
徒歩組がADを歩いた距離をとすると、
車がACを進んだ距離とCDを戻った距離の和がになります。

くわしく 徒歩組がAからDまで歩いたのと同じ時間で、車はAからCまで行き、さらにCからDへ戻っています。

この1と9を使って、解答に必要ないくつかの距離を表現します。
CD間の距離は()÷2=
AB間の距離は
クルマが走った距離の合計は14です。
*平行四辺形グラフの形状から、BC間の距離とAD間の距離は同じです。


では解答へ最終着陸。

(1)
CD間の距離は、AB間の距離の4/6、約分して2/3です。
AB間の距離は24kmだからCD間の距離は 24×2/3=16kmです。

(2)
A地点を出発してからB地点に着くまでにかかる時間は、車が走った距離の合計を車の速さで割れば求めることができます。
車が走った距離の合計はAB間の距離の14/6倍、約分して7/3倍だから24×7/3=56kmです。車の速さは時速36kmだから、56kmを走るのにかかる時間は56÷36=56/36(時間)=14/9(時間)=1と5/9(時間)です。


美しき平行四辺形グラフの問題いかがでしたか? 60講座の節目にこの問題を解説しようと決めて張り切ってグラフも作ってみましたが、一度読んだだけではちょっと…という方が多いかもしれません。正直簡単ではないと思います。まだ理解が不安な方は、このページを印刷して何度か落ちついて読んでみてくださいね。ストンと頭に落ちたときの爽快感は格別だと思いますよ。え? 一回で理解できたって? それはすごいなあ。算数のセンスがとても豊かな人だと思います(*^^)

では今回の講座はここまでにしますね。次回の講座は、元祖を修理して残すか新作に差し替えるか思案橋中です。早めに発表しますからね。乞うご期待です!

みなさんへの宿題
ランちゃん、スーちゃん、ミキちゃんの3人が2台のバイクで一本道の国道をツーリングしました。途中のP地点で1台が故障して動かなくなってしまったので、故障した1台をP地点に止め、ランちゃんがスーちゃんを乗せてP地点から30km先のホテルに向かい、ミキちゃんはバイクと同じ道を歩いてP地点からホテルに向かいました。ランちゃんはホテルに着く前にスーちゃんを下ろし、すぐに同じ道を引き返して、P地点から歩いてきたミキちゃんを見つけると、バイクに乗せて再びホテルに向かいました。
この結果、3人が同時にホテルに到着しました。バイクの速さは時速42km、歩く速さは時速6kmです。バイクが故障してから3人がホテルに着くまでの時間は何時間ですか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。