NEWみんなの算数講座74 てんびん逆方向攻撃
皆さんこんにちは。NEWみん算、74本目の講座を書きにやってきました。しばらく更新を止めていたので、ここからまたエンジンをかけ直して早めに更新していきますよ?
74本目は食塩水の〈てんびん〉の使い方の補強です。食塩水の問題で〈てんびん〉が強力な武器になることは、第3講座でお話をしました。食塩水どうしを混ぜる問題で〈てんびん〉ほど便利な解法はありませんよね。しかも〈てんびん〉は、食塩水+水、食塩水+食塩の問題でも使えるのでしたよね。〈てんびん〉が不安な人は第3講座に戻って復習してくださいね。
さて今日のテーマはこれです。
食塩水を混ぜる問題で活躍した〈てんびん〉は、食塩水を蒸発させる問題でも使うことができるのでしょうか?
結論から言いましょう。もちろん蒸発の問題でも〈てんびん〉を使うことはできます。でも蒸発って何かを混ぜているわけではなく、むしろ水を取りのぞく(水をマイナスする)わけだから、蒸発の問題では〈てんびん〉が使えない、、、と思いこんでいる人たちが多いようです。じつはそんなことは全然ありません。この講座を読んだ人は、さっそく今日からでも蒸発の問題に〈てんびん〉を使ってくださいね。
では蒸発の問題を出してみます。
15%の食塩水から水を蒸発させて、20%の食塩水を600g作りたいと思います。水を何g蒸発させればよいですか?
〈てんびん〉を使わずに解くなら次のようになるでしょう。
蒸発の前後で食塩の重さが変わらないことに注目します。
600×0.2=120g…蒸発後の食塩の重さ
【公式】食塩水(g)×濃度=食塩(g)
この食塩の重さは、水を蒸発させる前も変わらないから、初めの15%の食塩水を□gとすると、
□×0.15=120
□=120÷0.15=800g…初めの15%の食塩水の重さ
800gから600gに減った分が蒸発した水だから、
蒸発した水は800-600=200gと求めることができます。
これできれいに解けますから、別に敢(あ)えて〈てんびん〉を持ち出すこともないといえばないのですが、それで終わりにしてはこの講座の意味がなくなります。算数はいろいろな方法を考えるから楽しいのです。ワンパターンだめ~。
では、蒸発の問題を〈てんびん〉で解く方法を説明しますね。名づけて「てんびん逆方向攻撃」です。名前と一緒にやり方もしっかり覚えてくださいね。
さっきの問題をそのまま使います。
蒸発の問題で〈てんびん〉を使うときは、次のポイントの考え方をします。
【食塩水から水を蒸発させる問題で〈てんびん〉を使うときの考え方】
最後の食塩水に、蒸発した水をたせば、最初の食塩水になる! と考える
つまり、〈てんびん〉を結果から逆方向に使うわけです。最初の食塩水から水が蒸発して最後の食塩水になったのだから、最後の食塩水に蒸発した水を加えれば、最初の食塩水に戻りますよね?
最後の食塩水……20%の食塩水600g です。
蒸発した水……水は0%の食塩水です。重さはわからないから□gとします。
最初の食塩水……15%の食塩水です。重さはわからなくて大丈夫です。
このような〈てんびん〉が書けますよね?
<br>
左右のウデの長さの比は、
(15-0):(20-15)=15:5=3:1
食塩水の重さ(おもりのところ)はその逆比の1:3になるから、
□:600=1:3
この比例式を計算して
□=600÷3=200g…蒸発した水の重さ
以上蒸発の問題が、無事〈てんびん〉でも解決しました!
***
スピード的には、必ずしも〈てんびん逆方向攻撃〉が初めに説明した普通の解法を上回らないでしょう。ですのでどちらがよいと決めたりはしませんが、いつだか教え子から「塾の先生が蒸発問題ではてんびん使えないと言ってた」なんて聞き捨てならないセリフを聞いたことありますから、こりゃてんびん逆攻撃を講座に書かなくては!と思ったんです。塾の先生でも逆から使う方法は盲点に入ったのかもしれませんね。
僕はいつも書いてますが、解法レパートリーを広げておくことが、算数を得意になるためには大切なことです。ワンパターンな人は、その方法が使えないと行き詰まってしまうでしょう?実際解くときの方法は自由ですが、この講座を読んでくれた皆さんは、どこかで蒸発問題を見かけたとき〈てんびん逆方向攻撃〉も試してみてくださいね。
では講座74はここまでにします。また近いうちに次の講座でいっしょに算数を勉強しましょう!毎日算数の勉強がんばってくださいね。
カーテンコール
食塩水の有力解法〈てんびん〉を知らない生徒は中学受験生失格です。面積図より簡単に書けますから。食塩水の問題でてんびんが使える割合は僕の経験では7割ですね。3割は残念ながら (;^_^)でも7割使えればすごいでしょう?ぜひ〈てんびん〉はマスターしてくださいね。それと100gの水に溶ける食塩は約36gが限界(室温25°のとき)なので、算数の食塩水の濃度も36÷(36+100)=0.264…より、最大26%が守られるはずです。おかしな解答のチェック用にご記憶ください。