Newみんなの算数講座39 ダブりを消すための両替

Newみんなの算数講座39 ダブりを消すための両替

みなさんこんにちは。講座39を書きにやってきました。今回は場合の数を取り上げようと思います。講座スタートから何講座か書いたジャンルですが、しばらく間があいて場合の数は講座14以来かな。トップページの右下にタグ一覧という表示があって、そこで講座の内容をおおまかに分類しています。いくつかのジャンルにまたがる講座も多く、厳密な分類は難しいのですが参考にはなると思います。タグ一覧チェックしてみてくださいね。


場合の数にはさまざまな問題がありますが、今回考える問題は与えられた硬貨によって作ることができる金額のパターンです。そっくりに見える問題に同じ解き方が通用しないという悩ましさ(面白さ?)があります。順番に説明しますから区別できるようにしてくださいね。

ではさっそく1問目いきましょう。

問題1
500円玉が1枚、100円玉が3枚、10円玉が5枚あります。この硬貨の一部または全部を使って買い物をします。買い物ができる金額は全部で何通りありますか?

買い物ができる金額のパターンは次のように求めるのがよいと思います。

硬貨別に使い方を考えます。
500円玉は1枚だから、「使わない」か「使う」かの2通りです。
100円玉は3枚あるから、「使わない」「1枚使う」「2枚使う」「3枚使う」の4通りです。
10円玉は5枚だから、「使わない」「1枚使う」「2枚使う」「3枚使う」「4枚使う」「5枚使う」の6通りです。
大事なポイントは、どの硬貨も「使わない」という使い方を考慮して「+1」をするところですね。

あとは場合の数の積の法則を使ってこれらをかけ算します。
500円玉の使い方2通りに対して、100円玉の使い方がそれぞれ4通りずつあり、この時点で2×4=8通り。その8通りすべてに対して10円玉の使い方が6通りずつあるから、硬貨の組み合わせ方は全部で8×6=48(通り)です。もちろん2×4×6=48(通り)のようにまとめてかけ算してかまいません。

ところが!
この48通りはまだ答えではありません。1を引いた47通りが正解です。その理由は、48通りの中にはどの硬貨も使わない合計0円という1通りがふくまれているからです。買い物できる金額として0円は変ですよね。この「-1」をウッカリする人がとても多いので気をつけてくださいね。

この問題は講座37の転ばぬ先の杖テストにも出しました。そのときも最後のウッカリしやすい点にはふれましたね。今回は解き方について少しくわしく解説しました。どの硬貨にも1をたしてから積の法則でかけ算!です。

理解できましたか? では2問目を出しますね。

問題2
100円玉が3枚、50円玉が2枚、10円玉が3枚あります。この硬貨の一部または全部を使って買い物をします。買い物ができる金額は全部で何通りありますか?

さっきと一緒? やはりそう見えるでしょう? じつは微妙にちがうのです。何がちがうかわかりますか?
え~と問題2では、問題1と違って、同じ金額が作れてしまう硬貨があるんです。100円玉1枚と50円玉2枚ではどちらも同じ100円になるでしょう? その重複が邪魔をして、さっきと同じ方法ではうまくいかないのです。じゃあどうするかって? うまい方法があるのですが、その前に少し強引な方法で答えを出してみましょう。

強引な解き方
同じ金額を作れる硬貨があるので、硬貨を使う枚数ではなく、買い物金額に直接注目します。一番安い買い物は10円玉1枚だけの10円、一番高い買い物は全部の硬貨を使った430円です。この範囲を次のように百の位で分類して調べてみます。

・百の位がない買い物金額(□0円のような金額)
10円~90円の9通りのうち、10円玉が3枚しかないから40円と90円が作れません。
10円 20円 30円 40円 50円 60円 70円 80円 90円
7通り

・百の位が1の買い物金額(1□0円のような金額)
100円~190円の10通りうち、140円と190円が作れません。
100円 110円 120円 130円 140円 150円 160円 170円 180円 190円
8通り

・百の位が2の買い物金額(2□0円のような金額)
百の位が1の買い物金額と同様です 8通り

・百の位が3の買い物金額(3□0円のような金額)
百の位が1の買い物金額と同様です 8通り

・百の位が4の買い物金額(4□0円のような金額)
硬貨を全部使った430円が最高です。
400円 410円 420円 430円 4通り

これらをすべて合計して、問題2の答えは7+8+8+8+4=35通りです。

この解き方は、すべてを網羅(もうら)するという意味で安心はできますが、やはりちょっと強引と言わざるを得ないでしょう。硬貨の枚数が増えると作業が大変になってしまいますよね。本当は問題2も簡単な計算で解決できるのです。では賢い解き方を紹介しますね。

賢い解き方
別の硬貨で同じ金額ができてしまうことを避けるために、100円玉3枚を50円玉6枚に両替してしまいます。すると問題2は次のように直すことができます。

直した問題2
50円玉が8枚、10円玉が3枚あります。この硬貨の一部または全部を使って買い物をします。買い物ができる金額は全部で何通りありますか?

このように直してみると、これはもう問題1と同じですよね。いや、硬貨が2種類だから問題1よりもっと単純です。
50円玉の使い方が使わないをふくめて9通り。10円玉の使い方が使わないをふくめて4通りです。
(8+1)×(3+1)=9×4=36
そしてどちらも使わない1通りを引いて35通りですね。無事にさきほど強引に網羅した解答と同じになりましたね。

結局ね。100円玉を50円玉に両替して考えた9通りというのは、100円玉3枚と50円玉2枚を使って作れる50円単位の金額のパターンなのです。(どちらも使わない0円をふくむ)
0円 50円 100円 150円 200円 250円 300円 350円 400円
数えてみてください。9通りでしょう? このようにすることで100円玉1枚と50円玉2枚が同じ金額になってしまうことを気にしなくて済むようになるのです。あとはこの9通りのそれぞれに対して10円玉の使い方が4通りずつあるから9×4という計算になりますね。


今回の講座の内容はいかがでしたでしょうか?
一見同じに見える問題でも、枚数の関係によって別の硬貨で同じ金額が作れるか(問題2)作れないか(問題1)というちがいがあり、作れる場合にそのまま積の法則を使うと答えが重複して多くなってしまうのです。その場合は両替して重複が起きないようにする必要があります。いきなり積の法則が使える問題1と、両替してから積の法則を使う問題2のちがいをしっかり確認してくださいね。
では今回の講座はこれで終わりにします。次はキリよく講座40ですね。楽しみに待っていてください。それじゃあまた!

カーテンコール
本文に書くと混乱する人が出そうだったのでこちらに書きます。両替にも注意が必要で、たとえば問題2を10円玉43枚に両替することはできないです。なぜなら全部10円玉にしてしまうと、□40円など作れなかった金額まで作れるようになってしまうからです。それぞれの硬貨の枚数を変えて、強引作戦と計算式を比べてみるとさらに理解が進むと思います。

みなさんへの宿題
100円玉が2枚、50円玉が4枚、10円玉が4枚あります。この硬貨の一部または全部を使って買い物をします。買い物ができる金額は全部で何通りありますか?

解答したい方はページ下のコメントに書いてください。正解不正解をレスさせていただきます。お名前はニックネームでもかまいません。